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ストラテジー(世界情勢と投資戦略)

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9月23日未明のFOMCの注目ポイント-米国の物価動向と賃金動向-   2021/09/21(火)06:05:24  
   9月14日発表の米8月CPIは前年比+5.3%(7月:+5.4%)にやや低下。価格変動の大きい、食品・エネルギー除くコアCPIは前年比+4.0%(7月:+4.3%)で2ヵ月連続で低下している。
足元でCPIがやや低下し、FRBは、物価上昇は一時的と繰り返し説明しているものの、CPIはすでにFRBの物価目標の2倍以上の水準で推移している。
 9月8日に示された最新の地区連銀経済報告では、需要の強さから供給不足感が強く、低賃金労働者の賃金上昇もみられるなど、底堅い物価上昇圧力がみられることから、米国の物価動向はこれから低下するとみるよりも、高いまま推移し続ける可能性が高く、23日未明のFOMCの政策決定と同時に公表されるFRBメンバーの先行き見通しのうち、2022年と2023年の物価見通し(PCE価格指数)とFFレートの見通しが、6月に比べて、上昇修正されれば、早期利上げ観測の再念と米10年債利回りの上昇要因になり、ドル買い要因になりやすい。
 6月時点でのFRBメンバーの見通しは、物価見通しは2022年:2.1%、2023年:2.2%であった。これ以上の上昇見通しになれば、政策金利引き上げ時期の前倒し観測が広がる。FFレート見通しは、2022年:0.1%、2023年:0.6%であった。2022年に0.4%に上昇見通しになれば、投資家のコンセンサスになっている2023年からの政策金利引き上げ見通しが早まることになり、米10年債利回りの上昇要因とドル買い要因になる。ドル相場や米10年債利回りの今後の動きに強い影響を与える可能性があり、今回のFOMC及び、 FOMC後のパウエルFRB議長の会見は要注目である。
 


最新の地区連銀経済報告で明らかになった米国の物価動向と賃金上昇圧力   2021/09/14(火)06:36:28  
   9月8日に公表された米FRBの地区連銀経済報告では、FRBメンバーや投資家の間で広がっている、米国の物価上昇は一時的出るという見方を大きく買えるきっかけになる可能性がある。
 中身を見ると、「米国経済は7月上旬から8月にかけて米国景気の拡大ペースが、緩やかに鈍化した。景況感が強いセクターは、製造業、運送業、非金融サービス、住宅用不動産業。一方、減速しているセクターは、デルタ株の感染拡大によって、外食業、旅行業、観光業である。需要が減少したのではなく、供給不足、あるいは労働不足によって減速しているセクターは、半導体不足の影響を受けている自動車販売業、住宅販売業であり、減速の要因は供給不足である。雇用増加のペースは様々ながら、全ての地区で雇用が増加している。労働不足感が高まっており、不足になっている要因は、デルタ株の感染拡大による職場復帰の遅れ、育児、十分な失業手当などがあげられている。低賃金労働者の賃金上昇も力強さがある。雇用主は、より頻繁な昇給、ボーナスや職業訓練の充実などを提示していると報告している。物価動向では、12地区連銀のうち、半数以上が物価上昇ペースが強いと報告。インフレ率は高止まりしている。金属製品、貨物・輸送サービス、建設資材のコストが大幅上昇している。企業は今後数ヵ月間で販売価格の上昇を予想していると報告している。」という内容で、足元の景気拡大ペースがやや減速する一方で、米国の物価上昇圧力は、低賃金労働者の昇給につながるほど強まっており、今後数ヵ月のうちに価格転嫁されることを予想していることがわかった。
 9月21日・22日に開かれるFOMCでは、3ヵ月毎のFRB目mんバーの先行き見通しが公表される。物価上昇圧力や沈金上昇圧力の高まりが想定以上に上昇すれば、FRBによるテーパリング開始時期が迫り、かつ、利上げ時期の前倒しの可能性が再び注目されやすい。(ドル買い要因)物価上昇に伴う米10年債利回りの先行き上昇要因になり、米企業の7-9月期決算発表の控えた米株式相場、ひいては日本の株式相場の波乱要因になるので、ドル相場や米10年債利回りの今後の動きに強い影響を与える可能性があり、今回のFOMCは最注目である。
 


米国とともにテーパリング見通しが高まる欧州経済とユーロ相場見通し   2021/09/07(火)06:20:11  
   先週は、ユーロ圏でもテーパリング議論が始まりそうだとの観測が広がり、ユーロの買い要因になっている。8月31日にECBメンバーのオーストリア中銀のホルツマン総裁が、PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の債券購入額を減額することを検討してもいい時期にきているとコメント。
 さらに、9月1日にラガルドECB総裁が「ユーロ圏経済は回復軌道にあり、コロナ感染拡大によって大きな打撃を受けている一部のセクターに的を絞った支援策が焦点となってきており、全体に対する大規模な支援策ではなくなってきている」との旨をコメント。米国同様に欧州でもテーパリングなどの金融緩和政策を変更する可能性から、国債が売られ、利回りが上昇し、ユーロが買われる要因になっている。9月3日にはユーロ/円相場で130.7円までユーロが買われる場面があった。ユーロ/ドル相場でも、3日には1.1908ドルまでユーロが買われる場面があった。
 しかし、ユーロ圏でのテーパリング開始はなかなか進みそうにないと分析している。というのも、パンデミックによる感染被害が継続しており、かつ、ユーロ圏でのインフレ率は、8月31日に発表されたユーロ圏8月CPI(HICP)は前年比+3.0%(7月:+2.2%)に上昇。価格変動の大きい、エネルギー、食料品、アルコールとタバコを除くコアCPIも前年比+2.0%(7月:+1.6%)とECBの物価目標の2.0%をやや上回る水準近くに上昇しているもものの、米国のような政策目標を大幅に上回る4.0%台にはなっておらず、先行きの景気対策でも米国は、インフラ投資、子育て支援法と立て続けにさらに財政政策で景気回復のアクセルを踏み続けようとしている一方で、ラガルド総裁は、今後の欧州の景気対策は、コロナ感染で大規模に被害が大きいセクターに絞るべきだとの考えを示している点からも違いがわかるからである。
 9日に開かれるECB金融政策理事会は、欧州版テーパリング開始議論が始まるのかが注目されるが、米国のような緊急性がみられない点を踏まえると、期待外れになる可能性が高いと分析している。従って、物価上昇に伴うユーロ高は起きにくい。ただし、米国の利上げ時期の先送りに伴う、欧州景気回復期待に伴うユーロ高は起きる可能性がある。
なお、3日の日本の菅総理の自民党総裁選不出馬、今期での辞任報道は、為替相場には影響がみられていないのは、日本人としては寂しい気がしている。
 


年内テーパリング開始を示唆したものの市場との対話に成功したパウエルFRB議長の講演   2021/08/31(火)05:35:51  
   注目された8月27日のジャクソンホール会議でパウエルFRB議長の講演では、「7月のFOMCでは、米国経済がおよそ予想通りに進展した場合には年内に資産購入ペースの減速を開始するのが適切となるというのが私の見解であり、大半の参加者も同様の認識である。ただし、債券購入プログラムの縮小開始が、その後の近いうちに利上げが始まるというシグナルとして捉えられるべきではない。利上げ開始については、われわれは異なった、かつ、一層厳しい基準を明確にしている。米国経済が最大限の雇用を達成し、インフレ率が一定期間2%を適度に超える軌道に乗るまで、政策金利のFFレートの誘導目標のレンジを今後も現行水準で維持すると、これまで繰り返し表明している。」とコメントし、テーパリング開始は年内から行うものの、利上げ時期とタイミングはより厳しく判断するとして、テーパリング開始と、利上げ開始時期とは切り離して判断し、あくまでも安定的な物価目標の2%をやや超える水準の達成と、完全雇用達成後に行うと表明。
 このことから、テーパリング開始は年内ながら、利上げ時期はデルタ株の感染収束に向かい、最大雇用が継続するまで、低金利政策を続けるとの見通しを示しているのが特徴。
これまでは、年内のテーパリング開始ならば、利上げ開始は2022年度内に早まる可能性があるとして、早期利上げ懸念が広がりつつあったのだが、このテーパリング開始と利上げ開始の切り離しを明確に示したことで、利上げは物価動向次第で、6月のFOMCでの先行き見通しで示された、2023年に2回の引き上げ見通しに、利上げ時期が後連れする見方が強まった。
 この発言を受けて、米10年債は買われ、利回りが1.30%まで低下する一方で、リスク資産である株式相場は買われる展開になり、ドルが売られる場面があった。
仮に、テーパリング開始と利上げ時期の切り離し発言がなければ、米10年債利回りの急上昇と米国株式相場の急落リスクもあったので、今回の切り離し発言は、良い意味でのサプライズコメントで、パウエルFRB議長が市場との対話に成功したといえる。
 米10年債利回りは、足元では利上げ局面に向けた動きではなく、デルタ株感染による世界的な景気減速リスクを意識した実需の国債買いが続いている。米国景気の好調さから、米国の税収が想定以上に増加しており、国債の発行量がFRBの毎月の買い入れ額を下回るケースがみられる。ただし、テーパリングを開始すれば、毎月800億ドル(約8兆7200億円)の米国債の大口購入先がテーパリング終了後はなくなる(現在、FRBが保有している米国債の満期が到来した分については、同額を当面再投資し続ける)ので、時間差があるにせよ、米10年債り利回りは物価目標の2.0%あたりを目指して上昇する可能性が高い。足元の米10年債利回りは、1.3%台であるが、緩やかなペースで1.8%〜2.0%あたりへ向けて上昇するとすれば、米国景気拡大に伴って、米国株式相場も上昇基調も保ちつつ、米ドルの買い要因になる。
 


7月のFOMC議事要旨公表で迫るFRBのテーパリング開始見通しと米債券相場   2021/08/24(火)06:20:50  
   8月18日に公表された7月のFOMC議事要旨では、FRBメンバーが株式や債券の投資家が想像していた以上に、テーパリング開始時期についての年内開始の可能性を視野にして、深く議論していたことが分かった。
7月のFOMC議事要旨によると、「ほとんどの参加者は、米国経済が予想通りに大きく発展するなら、年内に債券購入ペースを縮小し始めるのが適切であると判断した。雇用面では、テーパリングに着手する際の雇用面での条件が現時点では達成されていないものの、年内に達成される可能性がある。ほとんどの参加者は、国債とMBS(住宅ローン担保債権)の純購入ペースを相対的に縮小し、それぞれの購入を同時に終了させることにメリットがあると考えている。なお、デルタ株の感染拡大に伴う感染者数の増加が職場や学校への復帰の遅れを引き起こし、米国経済の回復を阻害するリスクがある」として、年内テーパリング開始を示唆した内容であった。開始時期やテーパリングの期間については、まだ議論が尽くされていない要旨であるが、開始時期については、まとまりつつある感が強い。
 従って、8月27日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演や、9月21日・22日のFOMCなどでのテーパリング開始時期の表明見通しが高まっている。
なお、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演テーマは「(米国)経済見通し」であるので、7月のFOMC議事要旨に示されたような、テーパリング開始時期の判断を示すか注目。年内開始を示せば、ドル買い要因になる。
 一方、テーパリング開始時期がいよいよ迫るなかで、米10年債利回りは、利上げ局面に向けた動きではなく、足元のデルタ株感染による世界的な景気減速リスクを意識した実需の国債買いが続いている。米国景気の好調さから、税収が想定以上に増加しており、国債の発行量がFRBの毎月の買い入れ額を下回るケースがみられる。しかし、テーパリングを開始すれば、毎月800億ドル(約8兆7200億円)の米国債の大口購入先がいずれなくなるので、時間差があるにせよ、米10年債り利回りはFRBの物価目標の2.0%あたりを目指して上昇する可能性が高い。足元の米10年債利回りは、1.2%台であるが、1.8%〜2.0%あたりへ向けて上昇するとすれば、米ドルの買い要因になる一方で、好調な米国株式相場の売り要因になる。
 なお、急激な米10年債利回りの上昇は、実質金利(名目金利-期待インフレ率。20日現在:-1.01%)を上昇させ、米国株式相場を始め、世界の株式相場の下落要因になるので注意が必要である。
 FRBの金融政策の変更点が近づきつつあるので、要注目である。
 


具体的な開始時期を示し始めたFRBのテーパリング開始見通しと米ドル相場   2021/08/10(火)14:10:53  
   先週は、FRBメンバによる、具体的なテーパリング開始時期のコメントが目立つ一週間となった。
8月4日にクラリダFRB副議長が講演し、「デルタ株の急速な感染拡大は、米経済の下方向のリスクになるものの、米景気は力強い成長を続けている。FRBの予想通りに推移した場合は、年内にテーパリング開始ついて発表することを支持したい。」とコメント。
 同日、カプラン・ダラス連銀総裁も講演し、「現状の大規模な債券購入策は、過剰なリスクテークにつながっている。FRBはすぐにでもテーパリングの開始をすべきだ。ただし、テーパリングにあたっては、より緩やかなペースが好ましい。(現状では、米国債を毎月800億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を毎月200億ドル購入しているが)米国債を毎月100億ドル、MBSを毎月50億ドルずつ減らし、8ヵ月で債券購入策を終了すべきだと考えている。」とコメントしている。
 これまではFRBメンバーによる講演は物価見通しが一時的かどうかが重点的であり、インフレ見通しが上振れすれば、政策変更の準備があるという内容にとどまっていた。
しかし、先週からFRBメンバーが具体的な政策変更の時期を示し始めたことで、テーパリング開始がいよいよ迫ってきているとの見通しが広がってきている。
 この動きを受けて、低下し続けてきた米10年債利回りが、上昇を始めている。4日には1.127%まで低下する場面があったが、こうしたFRBメンバーの発言と、6日の7月の非農業部門雇用者数の力強い増加を受けて、7日には1.305%まで上昇する場面があった。
 8月はFOMCが開かれないことから、8月26日から28日のジャクソンホール会合や、9月21日・22日のFOMCなどでのテーパリング開始時期の表明見通しが高まっている。
 米10年債利回りは現在の1.2%台から、FRBが政策目標としている水準の1.8%-2.0%あたりへの上昇へ向けた動きがあっても不思議ではない。足元の物価水準が続くとさらなる上昇の可能性もある。
 一方、足元の米国での急速なデルタ株感染の拡大が、米10年債利回りを押し下げている要因であるが、FRBの政策変更が迫ってきており、ドル買い要因になる可能性がある。
なお、急激な米10年債利回りの上昇は、実質金利(名目金利-期待インフレ率。6日現在:-1.069%)を上昇させ、米国株式相場を始め、世界の株式相場の下落要因になるので注意が必要である。
 一部の債券投資家からは、米国景気のピークアウトに伴う米国景気の減速見通しが出ているが、現状では、米中摩擦の高まりを受けて、世界的に半導体設備の増強や、ソフト開発が活発化する流れになっており、米国を先頭に世界景気の拡大が続く可能性が高いと分析している。
 


FRBのテーパリング開始時期見通しと米ドル相場   2021/08/03(火)06:08:15  
   7月28日のFOMCでは、現状維持が決定されたものの「FOMCの目標達成を妨げる可能性のあるリスクが顕在化した場合、FOMCは必要に応じて金融政策スタンスを調整する用意がある。」とし、インフレ率のさらなる上昇見通しなど、雇用と物価の目標達成のさまたげになるリスクが生じた場合は、金融政策の姿勢を適切に調整する準備があるとして、テーパリングや利上げ開始の可能性を明確に示唆し、これまでのような物価上昇は一時的という文言を削除している点が特徴である。
 FOMC後の会見で、パウエルFRB議長は「我々はFOMC で、経済状況がかわったと判断したときに資産購入のペースや構成をどのように調整するかを議論した。FOMC参加者は経済が引き続き、我々の目標水準に向かっているところであるとの認識で一致している。今後の複数の会合で再び評価をし、資産購入の変更は今後入ってくるデータに基づいて判断したい。変更の前には事前にアナウンスするつもりだ。」とコメント。FRBが物価目標の指標としている30日発表の6月PCE価格指数が前年比∔4.0%(5月:4.0%、4月:3.6%、3月:2.4%)と4ヵ月連続で目標値の2.0%超が続く中で、8月のジャクソンホール会合や、9月のFOMCなどでのテーパリング開始時期の表明見通しが高まっている。投資家に対し、テーパリングや利上げに向けた準備に備えるように発言している。
現在、FOMCにおいて正式な投票権を持っていないものの、4月以降はFRBにおけるより具体的な政策ニュアンスを講演で披露し、注目されているセントルイス連銀のブレード総裁は、30日に個人的な見解としたうえで、「テーパリングの開始を今年の秋から始め、来年2022年の第1四半期末には終了させることが望ましい」と具体的な機関についての言及を行った。ポイントは、物価面よりも、労働市場のさらなる回復が重要としているが、マスコミ等が報じているような、これまでよりも早い時期での開始見通しについても、FRBの中で議論されている雰囲気である。
 一方、女性のFRBメンバーで注目度が高い、ブレイナード理事は、「コロナ前に比べて、雇用者数でまだ680万人程度少ない。コロナ前の雇用増加トレンドと比べると910万人程度少ない水準であるので、雇用はまだ進展するのが望ましい」とし、「(3か月毎に発表している)FRBメンバーの先行き見通しをまとめる次回9月のFOMCに経済データが整えば、最大雇用の達成に向けた評価がしやすい」とコメントしている。
今回のFOMC後に米10年債利回りは大きくは変化しなかったものの1.2%台と足元の物価水準や、こういったFRBによる早期のテーパリング開始見通しの状況に比べると、かなり反応が鈍いというイメージである。本来ならば、前年比+4.0%の物価動向を踏まえると、1.8%-2.0%あたりへの上昇へ向けた動きがあっても不思議ではない。
 足元の米国での急速なデルタ株感染の拡大や世界的な拡大が、先行きへの不透明感を高め、安全資産として買われている米10年債利回りをかなり押し下げている要因であるが、FRBの政策変更が迫ってきており、遅くない時期に米10年債利回りが上昇し、ドル買い要因になる可能性がある。
 急激な変化にならないような、FRBのアナウンスメント効果に期待したい。
 


物価上昇が緩やかな欧州と新たなフォワードガイダンスの特徴とユーロ相場   2021/07/27(火)06:19:50  
   7月22日に開かれたECB金融政策理事会では、物価上昇の一時的な2.0%越えを容認し、より長期間にわたって、低金利政策を続けることを決定後、ドルや円に対しユーロが売られる場面があった。
今回のECB金融政策理事会では、先行きにおけるフォワードガイダンスを変更し、物価目標を「2.0%より低いもののその近辺」から、「2.0%」に微修正し、「一時的に物価上昇率が目標をある程度上回る」ことを容認し、コロナショックからの欧州経済の回復をしっかりしたものにするために、より長期間にわたって、低金利施策を続けることを決定した。
 理事会後の会見で、ラガルドECB総裁は「フォワードガイダンスには3つの重要なポイントがある。金融政策の戦略において、物価が2.0%を基準に上下どちらにも触れる動きになることがあり、中期的に安定的に2.0%で推移することを支援すること。実際にその時期は、かなり先になり、その後安定的に2.0%に達すると予想していること。足元では、緩やかに物価目標を超える一過性の期間が想定されるが、中期的にはインフレ率が安定的に2.0%になる見通しであることだ。短期的に需要と供給における一時的なずれがコスト上昇になり物価を上昇させるものの、賃金の伸びは弱く、過去のユーロ高の影響などを考慮すると、物価上昇圧力は抑制される状況が続く可能性が大きい。ワクチンの普及が進み、大半の国々で都市封鎖が緩和されており、ユーロ圏の景気回復は軌道にのりつつある。しかし、デルタ株が特にサービス業の回復の妨げになるリスクがある。パンデミックが続く間は、経済のすべてのセクターに良好な資金調達環境を維持していく必要がある。ユーロ圏経済の見通しでは、4-6月期に回復し、7-9月期には力強い成長見通しである。」とコメントしている。より長期間にわたって、低金利政策の継続を示唆したことで、会見後はユーロが売られる場面があった。
 米国とユーロ圏の景気の現状において比較すると、米国は景気回復の方が力強く、雇用は回復途上にある中で、物価上昇圧力が高い。テーパリングの開始や政策金利の引き上げを検討しなくてはいけないほどの物価上昇圧力がある。これがドル買い要因になっている。一方、ユーロ圏は景気回復傾向ながら、物価上昇圧力が低く、米国のような利上げの必要性が低い点である。こういった景気回復動向と物価上昇の点から、先行きはドルが買われやすく、ユーロが売られやすい流れが続く見通しである。
 


テーパリング開始に向けて地ならしを整える米FRBと米10年債相場の落とし穴   2021/07/20(火)06:23:34  
   7月13日に発表された米国の6月CPI(消費者物価指数)は前年比+5.4%(5月:+5.0%)と4ヵ月連続で2.0%以上に大幅上昇している。価格変動の大きい、食品・エネルギー除くコアCPIも前年比∔4.5%(5月:+3.8%)と3ヵ月連続で2.0%以上に上昇しており、米国の物価高の長期化懸念が広がっている。
 パウエルFRB議長は14日に下院、15日に上院で半年に1回の議会証言を行い、「物価上昇は一過性で、景気回復が完了するまで低金利政策を続ける」というこれまで通りの言葉を強調している一方で、「インフレがある一定の期間にわたり大幅な高水準にとどまり、インフレ見通しが脅かされれば、FRBは政策を変更する」と、政策変更の可能性も述べている。これを受けて、マスコミの多くは、「物価上昇は一過性で、景気回復が完了するまで低金利政策を続ける」という言葉を強調しているからか、「FRBは低金利政策を維持」という見出しで報道しているものが目立ち、米10年債が買われる切っ掛けになり利回りが16日には1.292%まで低下する場面があった。
 15日公表の地区連銀経済報告では、「材料と労働力の不足、配達の遅れ、多くの消費財の在庫の少なさなど、供給側の混乱はより広範囲になっている。物価動向では、一部の連絡先は、価格圧力は一時的なものであると感じているが、大多数は、今後数ヵ月で投入コストと販売価格がさらに上昇すると予想している」とし、物価高への警戒度が増大している内容であることを踏まえると、パウエルFRB議長の今回の議会証言では、どちらかというとインフレ率次第では早期のテーパリングを開始する可能性もあるので、注意しておいてほしいというニュアンスに受け取るのが合理的だと思われる。
 米10年債相場は、「景気回復が完了するまで低金利政策を続ける」という方を重視していると報道され、物価が2.0%以上に上昇しているにもかかわらず、まだ利回りが1%台というのは、買われすぎ感がある。現実の経済状況とデルタ株の世界的な感染拡大も影響して、足元の動向と米国の金利の先行き見通しに大きな乖離が広がりつつある。
 それを裏付けるように、米2年債利回りは、先週末は10年債の動きとは違って、0.227%台に上昇している。従って、期間が短めの米国債は、物価動向の上昇傾向に沿って、物価上昇を意識した展開になりつつある一方、長めの10年債利回りは、デルタ株の感染拡大リスクを意識して、世界中から安全資産としての需要面で買われ、利回りが低下しているという流れという受け止め方をした方が合理的だと分析している。
従って、テーパリング開始について7月のFOMC、8月のジャクソンホール会合、9月のFOMCあたりで表明すれとすれば、米10年債利回りは、FRBが平均的インフレ率の目標としている2.0%に向けて、1.8%〜2.0%程度まで、ある程度急上昇するリスクがある。米10年債利回りの上昇は、ドル相場ではドル買い要因になるが、米国株式相場を急落させるリスクが伴うので、注意が必要である。米国株式相場の急落は、回復傾向にある米国景気の好調ムードを冷やすことになるので、米10年債利回りが緩やかな上昇するようなFRBによる今後の市場対話が期待される。
 


米国以外で再拡大し始めたデルタ株感染とFRBの政策見通しとドル相場   2021/07/13(火)06:21:56  
   米国を除いて、新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株の感染拡大が目立ってきている。先進国の中で、最もワクチン接種率が高い英国では、10日時点で、18歳以上の新型コロナウイルスのワクチン接種が87.1%、2回目の接種率も66.0%とで、一時は1日あたり1000人程度まで感染者数が減少したものの、最近ではデルタ株の感染拡大が増加し、1日あたりの感染者が3万人以上と先週に比べ感染ペースが2倍以上になるなど再び拡大中。死者の増加ペースは落ち着いているものの、ここにきてのコロナ感染再拡大は、ポンドの売り要因になっている。
 ジョンソン英首相は5日に、デルタ株の感染が拡大する中で、重態者や死者が減少していることから、7月19日に向けて、7月12日に最終判断し、これまでの日常生活の規制を全て撤廃するとコメント。マスク着用や社会的ディスタンス、バーやレストランなどのさまざまな制限、イベントの人数制限などの法的な規制を廃止する予定。
 なお、店側が、ワクチン接種済証明書や、陰性証明書の提示をお客に求めることは可能としている。
英国では今後、1日あたりのデルタ株の感染者数が5万人程度まで増加すると試算されているものの、ワクチン接種者は、重態になったり、死亡する可能性が低くなる見通しから、以降はコロナと共存することを英国民に呼び掛けている。
このようにデルタ株の感染拡大は、英国だけでなく、日本、欧州、フィリピンなどのアジア地域にも広がっており、世界的な安全資産として、米国債が買われる要因になっている。米10年債は、米国以外の国でのデルタ株の感染拡大を警戒して、2週連続で買われ、8日には1.250%まで低下する場面があった。米10年債利回りの低下は、ドル売り要因になり、先週はドル/円相場でドル売り・円買いの展開になっている。
一方、7日に公表された6月のFOMCの議事要旨では、FRBメンバーによるインフレ率の上振れ懸念が高まっており、テーパリングの開始時期について、本格的な議論に入ったことが示された。
テーパリングが開始時期が明示されると、将来の政策金利の引き上げを見据えて、米10年債利回りの上昇要因になるのだが、世界的なデルタ株の感染拡大による安全資産需要の高まりが、米10年債利回りを押し下げる要因になっている。
 米国がデルタ株の感染被害が抑えれれれば、FRBは6月のFOMCで示した先行き見通しに基づいて、早ければ、7月のFOMCか、8月のジャクソンホール会議、あるいは、9月のFOMCでのテーパリング開始時期の票芽が行われる可能背が高い。しかし、米国も含めて、デルタ株の世界的な感染拡大が続くと、米国景気の回復ペースの原則や、米10年債利回りの需要の増加を通じて、テーパリング開始時期の後連れの可能性が出てきている。上昇見通しが強かったドル相場に、デルタ株の感染拡大の影響による思わぬブレーキがかかる可能性があるので、デルタ株の感染動向が注目度が増してくる。
 

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