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ストラテジー(世界情勢と投資戦略)
全部で 3232件 の記事があります。(表示:1−10) |
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米国の景気後退リスクを想定!インフレファイターに徹するFRB
2022/06/28(火)07:29:28
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パウエルFRB議長は、6月22日に米国の上院銀行委員会の公聴会、23日は下院の金融サービス委員会の公聴会で証言。6月15日のFOMC後の会見よりも、FRBが米国のインフレ圧力を低下させることに全力で取り組む姿勢を鮮明にしている。 「FRBは高インフレが米国民や企業にもたらしている苦難を理解している。物価の抑制に全力で取り組んでいる。無条件で物価を2.0%にまで引き下げる必要がある。物価安定を達成せずに幅広い恩恵につながる最大雇用を持続的に維持することはできない。FRBの急速な利上げが、失業率の上昇や景気後退を招くリスクはある。しかし、現状では個人消費が強く、失業率(現状:5月:3.6%)が4.3%になるとしても、労働市場は堅調な状況である。景気後退リスクがあっても物価抑制に全力を傾けている。別のリスクとしては、FRBが物価安定を取り戻すことができず、米国経済に高インフレを根付かせてしまうことである。この責務において失敗は許されず、インフレ率を2.0%に低下させなければならない。過去1年間では、インフレ率は上向きのサプライズが続いており、もう一段、サプライズがあるかもしれない。明らかになるデータや変化する見通しに機敏に対応していきたい。」との主旨で証言した。 パウエルFRB議長の本心としては、上昇傾向が続く、インフレ率のピークを早く実現させて、できることなら米国景気の好調さを維持しつつ、インフレ率を目標である2.0%あたりまで低下させたいとの思いが伝わってくる証言であった。今回の議会証言では、急速な利上げが住宅市場を壊すことになりかねないといった、議員からの厳しい質問が出たものの、FRBがインフレ調整に失敗すれば、米国景気に深い後遺症をもたらすリスクにつながることを説明して、乗り切った感がある。ちなみに、30年固定の住宅ローン金利は、すでに5.98%まで上昇してきており、これ以上の利上げは、住宅ローンを組んで購入したい顧客にとっては、購入できないようなレベルの住宅ローン金利水準の上昇が見込まれる。 利上げペースを加速させて、物価上昇を上手く抑え込めるのか? FRBの金融政策手腕次第で、株式市場、債券市場の投資家の評価が分かれる段階に入ってきている。年末に向けて、米国株式市場が上昇することは、FRBの手腕が成功することになる。株式相場は6ヵ月先の景気動向を先読みして動くといわれる。年末までの株式相場の動向に注目である。
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インフレ見通しに失敗?!景気後退リスクが高まったFRBの利上げ見通しにともなう米国景気
2022/06/21(火)07:31:07
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日本時間6月16日未明の米FOMCでは、事前見通しで0.5%引き上げとみられていたにもかかわらず、実際には、政策金利であるFFレートを0.75%引き上げ、1.5%-1.75%にすることを決定。パウエルFRB議長は、FOMC後の会見で、「0.75%の利上げは明らかに異例の大きさである。この規模の利上げが頻繁に行われるとは考えていない。現時点では、次回7月のFOMCで0.5%もしくは0.75%の利上げを行う可能性が高いだろう。」とコメントしているほど、今回のFRBの決定は、上昇傾向が続く米国のインフレ率を、何とか早く落ち着かせたいFRBメンバーの焦りが見える決定となっている。さらに投資家を驚かせたのが、3ヵ月毎に示されるFRBメンバーの先行き見通しで、前回の3月のFOMC時点での見通しよりも、たった3ヶ月で今年の12月末の政策金利見通しの平均値が、1.5%(通常の利上げペースの0.25%なら、6回分に相当する)も大幅に上方修正された点である。 具体的には、今回FFレート見通しが、2022年12月末:3.4%見通し(3月時点:1.9%)、2023年末:3.8%見通し(3月時点:2.8%)見通しに大幅に引き上げられた。これによって、今後も想定以上の大幅引き上げが続く可能性が高まっている。今回の大幅な上方修正は多くの投資家にとってかなりのサプライズ感があり、米国景気の後退リスクが意識され始めている。 FOMC後のパウエルFRB議長の会見では、これまでの利上げ効果が出始めており、企業の設備投資の鈍化と住宅ローン金利の上昇に伴って住宅市場が減速してきていることを認めている。当面は景気の減速ペースはそっちのけで、インフレ圧力を引き下げることに注力する姿勢を鮮明にしているのが特徴である。FOMC後は、大幅な政策金利の引き上げにもかかわらず、米国の景気後退リスクを警戒して米10年債が買われる動きになり、利回りが低下し、米国時間の翌16日には3.178%まで低下する場面があった。 仮に、今回の見通しに沿って、2023年末にFFレートが、3.8%まで上昇するならば、少なくともおよそ1年半までの間は、住宅市場が減速していくリスクが高まる。向こう1年半もの間の長期の住宅市場の低迷は、米国景気をかなり減速させてしまうリスクが高まっている。今年、11月には中間選挙が行われるが、バイデン政権は、経済運営で、米国民からどうみても失策と受け止められてしまうだろう。 足元では、先行きの政策金利見通しの先高感があることが、ドル買い要因になっているが、景気後退懸念が広がれば、反転して、ドル売り要因になってしまう。株式相場は6ヵ月先の景気状態を反映して動くとよく言われる。景気拡大から景気後退への転換点は、6カ月当たり先になることを、最近の米国株式相場が織り込み始めている可能性がある。
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一部の量的金融緩和策を残して金利引き上げ局面入りを決めたECB金融政策理事会と為替相場見通し
2022/06/15(水)07:43:10
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6月9日に開かれたECB金融政策理事会では、7月から金利引き上げを行うことが決定され、日本以外の通貨取引金額が大きい米英欧の金利引き締め政策と日本の量的質的金融緩和政策の継続姿勢との違いが明確化している。円は、米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円相場において、先週は年初来安値を更新。先行きも円売り継続の流れが続く見通しになっている。 ECBは、今回の理事会でリーマンショック以降続けられてきた、国債等を購入するAPP(資産購入プログラム)を7月1日に終了させ、7月中に政策金利を0.25%引き上げることを決定した。さらに、次回7月のECB理事会でも、0.25%、もしくは、0.5%の連続引き上げを示唆。9月のECB理事会でも利上げが行われると示唆している。ただし、償還を迎えた国債等の再投資については、米国のFRBは保有国債等の再投資を減額していく、量的引き締め策への転換をすすめているのに対し、ECBは、2024年12月までは、満期による償還がきた相当額については、引き続きユーロ圏の国債への再投資を行うことを確認しており、完全に量的金融緩和政策を打ち止めにしているのではない点が、米国との大きな違いである。先行きでユーロ圏の景気が悪化するリスクが大きくなる場合には柔軟に景気への下支えに対応できる手段を残しているのが特徴である。 9日の理事会後の会見でラガルドECB総裁は、ユーロ圏が直面している高インフレ状況については、金融政策正常化の道筋であり、一足で到達できるものではなく、(正常化というゴールに向けての)旅路になる。ユーロ圏のインフレ率の上昇要因は、需要の過熱面よりも、輸入品の価格上昇の要因が大きい。エネルギーだけでなく、食料を含めて広範に価格上昇が起きている。3月以降は賃金の伸びが拡大傾向にあるが、これは驚くような水準ではない。中期的に需要が弱まれば、インフレ圧力も弱まるだろう。当面は、ウクライナ戦争の影響による食品や、エネルギー価格の高止まりが予想される。中国におけるサプライチェーン問題も物価上昇要因になっている。こうした要因が、ユーロ圏の一部に偏り、国債利回りの偏った上昇につながらないように、金融政策の運営では、しっかり伝達経路がスムーズにいくように細心の注意を払っていくとの主旨でコメントしている。 今回のECBの決定を受け、量的質的金融緩和策を続ける日本の円が独歩安の流れになってきているが、金融引き締め度合いを整理すれば、米ドル、ポンド、ユーロ、円の順番になる。この中でいち早く円売りの流れに反転する可能性があるのは、2023年後半には景気後退のリスクがあることを表明しているポンド/円相場になりやすい。
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黒田日銀総裁が描く理想的な日本の物価上昇と米国の利上げ局面後の景気後退懸念
2022/06/07(火)07:13:38
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6月3日に黒田日銀総裁は、参議院予算委員会で証言し、「最近はガソリンや食料品など購入頻度の高い品目の価格が上昇し、多くの家計が物価上昇を実感している。家計の所得が伸び悩む中での物価上昇は実質所得の減少を通じて日本経済の下押し要因となるので、望ましくない。日本の雇用や所得の現状は、全体としては弱めになっている。体感している物価上昇が、家計の消費マインドに悪影響を及ぼさないか、注視している。日銀は、経済や賃金が増加していく中での、緩やかな物価上昇の形成を目指している。引き続き金融緩和を続けることで、賃金上昇を促す環境を下支えすることが重要である。」という主旨でコメントしている。日本でも物価上昇が体感できる状況になっているものの、日銀が目指しているような日本経済と労働者賃金の両方が上昇するような物価上昇になっていないとして、日銀の量的金融緩和政策の継続を繰り返し示唆している。黒田日銀総裁が目指しているような状況になるまでは、米国や中国といった日本とのつながりが大きい国々の経済も少なくとも1年以上は好調に推移して、日本経済をけん引してくれないと、なかなか実現しそうにないといった感じである。 黒田日銀総裁が憧れる理想的な物価上昇に達し、やや行きすぎた感がする物価上昇状況になっているのが米国である。足元のFRBの政策金利引き上げという金融政策は、上昇し続けている物価上昇圧力にブレーキをかけることではあるものの、FRBメンバーの中には、その次に来る米国の景気減速、あるいは景気後退に目配りするようなコメントが先週目立ってきている。 6月1日にセントルイス連銀のブラード総裁が、米国の高インフレ率を抑えるために年内は政策金利を3.5%まで引き上げる必要があるが、(景気を支えるために)来年後半か2024年には利下げ余地が生まれるとコメント。2日にはクリーブランド連銀のメスター総裁がインフレ次第だが、6月と7月に各0.5%の政策金利引き上げ後(9月以降)は、利上げペースを見極める必要性を示唆した。ここにきて、FRBメンバーの間に、利上げの一旦停止の可能性を示唆する発言が注目されている。 しかし、2日にブレイナードFRB副議長がこれらを否定。「利上げ効果が効いて、需要が覚めるかどうかのデータが9月には見極めが不十分。需要が冷めないならば9月のFOMCでも0.5%の引き上げが適切になるかもしれない」とコメントしている。 そんな中、クリントン政権で米国の財務長官であったローレンス・サマーズ氏の発言が、米国景気の先行きに重みを増している。サマーズ氏は「大手企業の一部で企業の求人状況が減ってきたり、商品在庫が増加してきている。FRBの金融引き締め効果が景気に影響している兆しである。これまでの経験から判断すると、インフレ率が4%以上になり失業率が4%を下回る景気拡大後に金融引き締め効果が現れる場合は、2年以内に景気後退(GDPが2四半期以上、前期比マイナスになる)になることが多い。今回もそうなる可能性があると見ている」とコメントしている。 政策金利の引き上げは、勢いのある景気や雇用にブレーキをかけることができる金融政策であるが、減速させすぎてしまうことが多い。パウエルFRB議長や、イエレン財務長官は、米国景気を程よい速度で拡大させつつ、FRBが物価をうまくコントロールすること期待しているが、投資家目線としては、正直なところは、うまくいかないことの方が多いという点を、認識しておいた方がよさそうである。
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日米首脳会談で見えてきたウクライナ戦争後の世界秩序
2022/05/31(火)07:58:37
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5月23日に、バイデン大統領と岸田総理の日米首脳会談が開かれた。今回のバイデン大統領の来日目的は、21世紀に入っても、第2次世界大戦の延長戦を仕掛け、小国から領土や資源を奪い取ろうとするロシアや中国への対抗体制の強化と新しい貿易ネットワークの模索が主要議題であった。 特に印象的だったのが、バイデン大統領から、日本が国連の常任理事国になることを支持すると発言したことである。国連の常任理事国は、米国、ロシア、中国、イギリス、フランスの5カ国。自国に不利な案件については、拒否権を発動でき、その問題を可決させないようにできる強い権限を持つのが特徴。また、実質的に核兵器を保有することが、公式的に認められているのも特徴である。 今回のウクライナ戦争では、当初は早期停戦に向けた外交努力が見られたものの、現状では、ウクライナがロシアに勝てるように最新兵器の提供に変わってきており、資金援助の他、ロシアが二度と外国に対し戦争を仕掛けることができなくなるように、西側諸国の金融ネットワークや貿易圏から遮断し、資金面、物資面で兵器開発や武器購入ができなくなるように世界の多くの国々が協調体制をとっている。例え、ロシアが望むようにウクライナ戦争で新領土を手に入れるとしても、現状で、ロシアが保有している資産を食い潰してしまうと、経済力が大きく縮小してしまうので、およそ、世界の大国からは程遠い国になりかねない。従って、ロシアへの経済制裁は、ウクライナ戦争後も続く可能性が強く、少なくともプーチン政権が続く間は、続く可能性が高い。その一方で米国が進めようとしている日米欧英などが中心となって、アジア地域が加わるような、太平洋経済連携体制の強化である。バイデン大統領は、トランプ政権時に離脱したTPP(環太平洋貿易協定)ではなく、IPEF(インド太平洋経済連携)を掲げている。米国の思惑通りに進むのか、TPPに米国が復帰するのかは、不透明ながら、この地域を巻き込み、ロシアと中国は入らないような経済的なネットワークの強化と、防衛面での連携強化が前提となっている。米国は、日本には、こうした太平洋やインド洋に隣接している東アジアの地域の国々へのリーダーシップを期待しているようだ。 従って、今後はこういった地域で活用されるサービスの統一化やシステムなどの標準化などが進んでいく可能性が高い。欧米への市場参入では、日本企業は、米Apple社やGoogle社のようなプラットフォームづくりには、苦戦しているが、地理的にも近いこうした東アジアで、日本製のプラットフォームが浸透するのかが、期待したい。成功すれば、東アジア全体を含めた市場に販路が拡大することができる。 こうした新しい世界秩序作りをにらんで、日本国内で上場を目指す企業がたくさん出てくると、日本経済の復活につながることになる。日本にとっても、ウクライナ戦争に西側諸国が勝てるように、がんばりぬくことが求められているようである。
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株式相場と債権相場で見方が分かれてきた米国景気見通し
2022/05/24(火)07:37:20
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米国株式相場は、先週まで8週連続で売られる展開となっている。ダウ工業株30種平均株価は、1月5日には史上最高値の36952.65ドルを更新する場面があったが、米国の物価上昇の高止まりを背景に、FRBが金融政策を量的緩和策から、金利引き上げ策に転換することを表明。3月のFOMCで実際に利上げを開始し、米国株式相場は下落する展開になっている。2月24日から始まったロシアのウクライナ戦争勃発で、地政学的リスクが高まっていることも、世界景気、米国景気の先行きに不透明さを増す要因になっている。 5月に入ってからは、米国株式相場は、年初来安値を更新する回数が増えてきており、20日には30635.76ドルまで売られる場面があった。8週連続で下落する動きは、世界大恐慌が起きた1932年以来。90年ぶりである。これは明らかに、景気減速ではなく、景気後退リスクを意識した展開になっている。 一方、米国の債券相場は、20日時点で2年債が2.586%、10年債が2.788%で、概ね期間ごとの利回りが、満期までの期間が長いほど利回りが高い、純イールドのままであり、FRBの政策金利日引き上げを意識した、利回りの上昇局面になっている。2年債利回り、10年債利回りの金利差がプラスであるので、景気減速の可能性はあるものの、景気後退を見越した危機的な再建買いが起きている状況ではない。FRBが目指すような、景気減速から、景気拡大局面への誘導が成功する可能性がある。 株式市場と債券市場の投資家の間で、米国景気の先行き見通しが分かれてきているので、金融市場としては、どちらが主流になるのか、実際の景気指標を見極めつつ、当面は乱高下が続きやすい地合いが続く見通しである。
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コントロール不可能なリスクがあること認めたパウエルFRB議長と米景気悪化を見越した米株下落
2022/05/17(火)07:46:45
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5月12日に米上院で、パウエルFRB議長の再任が正式決定された。賛成が80名、反対が19名であり、圧倒的な信認を得ている。 同日の公共ラジオでのインタビューで、パウエルFRB議長は、「(FOMCでの今後の利上げ幅について)米国景気が見通し通りに推移すれば、今後2回(6月と7月)のFOMCで0.5%の追加利上げが適切だとみている。0.75%の引き上げは積極的には検討していない。なお、状況がFRBメンバーの予想よりも良いならば、小さく行動することもある。反対に、予想以上に悪い場合は、強い行動に出る準備ができている。3月からの利上げ開始については、もう少し早めに利上げ開始をしていた方が良かったかもしれないと感じている。ただし、早く利上げ開始をしていたとしても、どの程度の違いが出ていたのかはわからない。FRBメンバーは、その時点で把握できる状況に基づいてリアルタイムに判断しなけらばならないので、最善を尽くしている。現状の利上げについては、労働市場の好調さを維持しつつ、物価を目標値である2.0%に鎮静化させることを目指しているが、実際には多くの困難が想定される。実際、米国景気の好調さを保ちつつ、うまくインフレ率を沈静化できるかどうかは、FRBがコントロール不可能な要因に左右されるリスクがある。ウクライナ戦争のような地政学的リスクや、サプライチェーンの混乱などがそうである。多少の景気への痛みを伴う可能性がある。」という主旨でコメントしている。 正式にFRB議長に再任されてホッとされたのか、利上げタイミングが遅れ気味になったこと認めているのが印象的である。さらに、利上げ局面での米国景気の過熱感を取り除いて、雇用の好調を維持しつつ、景気好調を維持するソフトランディングについては、正直なところ明確な自信がなく、ウクライナ情勢に伴う地政学的リスクによる経済の混乱や、中国のゼロコロナ政策に伴う、工場停止などによる部品供給不足など、FRBの監督外項目となる要因による米国景気悪化については、どうしようもないといった本音をコメントしている。 米国株式相場は、足元では、中国の都市封鎖の影響で製品供給不足になってきたApple社が総額1兆円規模の売上減少になる可能性を示唆したことから、中国の動向による米国景気後退を織り込み始め、先週は12日に、ダウ工業株30種平均株価、S&P500種平均株価指数、NASDAQ指数いずれもが年初来安値を更新し、世界同時株安の流れの切っ掛けになっている。 こうした状況下で、FRBが利上げを進めるとさらなる株価下落を招くリスクが高まる。株価下落は、個人消費を冷やす要因になりやすいことから、FRBの今後の利上げスタンスは難しい局面になってきている。しばらくは、株価の下落が落ち着くかどうかが最注目である。株価の下落が続く間は、米10年債は安全資産として買われやすく、利回りは低下する動きになりやすい。
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インフレタイプが異なる日本と米英欧の物価上昇と金融政策の違い
2022/05/10(火)07:37:16
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6月から、チキンラーメンやみそラーメンなどの即席めんやカップ麺がさらに値上げ予定となっており、創業以来、38年間守り続けてきたスシローさえも、100円寿司は維持できないと10月からの値上げを表明している。1リットル:170円台にも上昇している石油価格やエネルギー価格以外でも、このように食料品の価格上昇が目立っている。米英欧だけでなく、日本も物価上昇圧力が実感できるほど高まっているのが、実際のところである。 しかし、同じ物価上昇でも、日本の物価上昇は、米英欧のパターンとは違うと分析しているのが、黒田日銀総裁である。4月28日の日銀金融政策決定会合後の会見で黒田日銀総裁は、日本の足元の物価上昇は、資源高や円安による(コストプッシュ型)の物価上昇であり、米国などの賃金上昇や期待インフレ率の上昇を伴う(ディマンドプル型)ではないことから、原油価格や資源高傾向は2022年度を通じて上昇し続けるとは想定していなくて、先行きは減衰していくと見込んでいる。(米英欧のような)企業収益や賃金・雇用が増加する好循環の中で、2.0%の「物価安定の目標」を日本でも安定的に実現するまでには、なお時間を要すると思う。生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2.0%を超えるまで、量的・質的金融緩和政策の拡大方針を継続するという主旨でコメントしている。 要するに、米英欧が直面している物価上昇は、コロナ禍からの回復過程で、モノやサービスが欲しいという人達が増えており、その需要に対応しようと雇用を増やそうとし、賃金上昇もおきている。人手不足感があり、時給や給料を高くしても、なかなか思ったようには集まらないくらい雇用を増やして対応しようという状況であり、これは需要が物価を押し上げるディマンドプル型である。一方、日本の足元の物価上昇は、モノやサービスが欲しいという需要が盛り上がった中での物価上昇ではなく、輸入に頼っている原材料や資源価格の上昇や円安による、物価上昇になっているので、人手不足感はなく、時給や給料を高くしてまで、雇用を増やして対応しようという状況ではない。従って、資源価格の上昇はやがて治まり、円安が落ち着くと、物価は下がることが見込まれるので、引き続き米英欧のような、需要が増えるまで、日本の景気を下支えするために、金融政策はこれまで通り、量的金融緩和策を続けるという姿勢をとっている。 ただし、米英欧の物価上昇圧力を抑えるための政策金利の引き上げは、打ち止めのタイミングが難しい。引き上げすぎると、景気の腰を折ってしまうリスクがある。というのも、5月5日に開かれたBOE金融政策委員会では、現状のペースの利上げを行うと、2023年のGDPは、-0.25%に落ち込む見通しが示されたために、ポンドが売られる流れになった。政策金利の引き上げは、あくまでも景気が好調な間は、通貨の買い要因になるが、景気後退を引き起こすまで行き過ぎると、逆に通貨の売り要因になる。そういった観点から、米国のFRBのかじ取りは非常に難しい局面に入ってきている。景気好調が続く米国は、冬目利上げしても、ドル買い要因になるものの、いずれかの時点で先行きの見通しがマイナス成長になるならば、利上げがドル売り要因になってしまう。 株式相場は、6ヵ月先の景気を読んで動くといわれる。足元の米国株式相場の下落基調は、FRBの見通しとは違って、投資家目線での米国の景気後退リスクを感じ始めている可能性がある。
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5月のFOMCの政策決定見通しと米10年最利回りの見通し
2022/04/26(火)07:47:45
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次回の5月のFOMCは、日本時間の5月5日未明に開かれる。 4月21日に開かれたIMF(国際通貨基金)の討論会で、パウエルFRB議長は「米国のインフレがピークを迎え年内に鈍化するとみていたが、期待外れになっている。供給面での回復に頼らずに、FRBは利上げを実施し、より中立的な水準まで政策金利を迅速に引き上げる。従って、インフレ対応はもう少し迅速に動くことが適切であり、5月のFOMCでは、0.5%の利上げが検討されるだろう。FRBは、金融政策の引き締めによってモノやサービスの需要が抑制され、企業の採用意欲が低下し、持続不可能なほど過熱している賃金の上昇が抑制されることを期待している」という主旨でコメントしていることから、FFレートを0.5%引き上げる見通しになっている。先週はこのコメントを拡大解釈し、今後、2-3回のFOMCでは、通常の0.25%ずつではなく、複数回で0.5%ずつ引き上げて、FRBメンバーが中立的水準としている、2.5%あたりまで、年内に引き上げたいという思惑がみえてくる。 さらに、ブレイナードFRB理事は、約9兆ドルもあるFRBのバランスシートを早期に縮小開始することで、政策金利を0.5%から0.75%引き上げたのと同様の引き締め効果があることから、6月あたりでの開始の可能性をにおわせる発言をしている。早ければ、5月のFOMCでも資産縮小開始が決定される可能性があるものの、政策金利を0.5%引き上げて、かつ、資産縮小を開始すれば、金融市場における利上げ効果は、1.0%以上となるので、急激すぎる引き締めになるリスクがある。 21日のパウエルFRB議長のコメントを受けて、米10年債利回りは、こうしたFRBの利上げ加速姿勢などから、3週連続で上昇基調となっており、2.9%台まで上昇する場面があった。 債券市場は利上げ観測が高まると、FOMCまでは、利回りが上昇基調が続くことが多い。しかし、実際、利上げが決定されれば、それまでの売りポジションを解消するように、利回りが低下しがちである。今回も、そういう展開になることを想定している。 上記のような債券相場の展開になるならば、米10年債利回りの上昇に一時的にせよ、一服感が出ることになる。日米の株式相場にとっては、これまでの反動から、買われやすい地合いになる可能性がある。含み益の出ている銘柄の利確チャンスのタイミングにもなりそうである。
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10年ぶりの為替介入を視野に!6週連続で進む悪い円安
2022/04/19(火)08:27:48
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3月7日以降、ドル/円相場では、6週間連続でドル買い・円売りトレンドが続いている。 特に、3月18日に開かれた日銀金融政策決定会合において、量的金融緩和策の継続が決定され、会合後の会見で、黒田日銀総裁が、足元で進む円安の流れは、日本経済にとってプラスになるとのコメントを切っ掛けに、黒田ラインと呼ばれて、ドル/円相場でのドルの上値めどとみられていた125.0円を超えて、ドル買い・円売りトレンドが継続している。4月15日には、126.68円までドルが買われ、年初来高値を更新する場面があった。 一方、米国の動向では、5月のFOMCで、0.5%の政策金利の引き上げ観測が強く、さらに、6月のFOMCでは、資産縮小の開始が決定される可能性があることから、米10年債利回りは、4月12日に2.836%まで上昇する場面があった。先行きはさらなる米10年債利回りの上昇が見込まれており、ドル/円相場の上値めどがどのあたりになるのかが注目されている。 円安のめどが底なしになるリスクが高まっていることから、15日に日本の鈴木財務相が「(円安のメリットを受ける企業や富裕層と比較して)価格に十分転嫁できないとか、賃金がその伸びを補うほど伸びていないこと(絶対数では、円安の恩恵を受ける国民より、円安により生活苦を感じる国民が多い)については、悪い円安と言えるのではないか。為替の安定が重要。特に急速な変動は望ましくない」とコメント。来週以降は、この流れを落ち着かせるために日米で、円買い・ドル売り介入が行われる可能性や、20日に開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議で共同声明で言及される可能性がある。 もし、今週にドル買い・円売りの流れが止まらなければ、130円をあっさり超えて、さらなる円安が進むリスクがある。 この急激に進む円安について、日本の株式相場は疑心暗鬼で受け止めている感がある。4月1日に公表された最新の日銀短観では、日本企業は総じて先行き見通しについて、警戒していることが示されている。先週までは、米ダウ工業株30種平均株価は、3週連続で下落したのに対し、日経平均株価で見れば、先週は小幅ながら上昇している。急速に進む円安は、黒田日銀総裁が言うように、日本全体で見ればプラスだが、鈴木財務相がいうように悪影響を受ける日本人の人数が多ければ、日本全体の個人消費は減速するリスクが高まるので、日本国内で稼いでいる企業の多くは、悪影響を受けるリスクが高まると分析している。
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