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ストラテジー(世界情勢と投資戦略)

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日米首脳会談で見えてきた日米の対中戦略と米バイデン政権のドル高戦略   2021/04/20(火)08:21:08  
   4月16日に米国で開かれた日米首脳会談は、バイデン新大統領が1月に就任して、初めて直接、対面で対話する海外の総理という点でも、バイデン政権が日本へ求める期待の強さを感じる会談となった。
 今回の最大のポイントは、対中国に対し、日米で武力衝突に備えた準備をしていくことを確認した点。特に、米国は今回の共同声明文の中で、「米国は、核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対するゆるぎない支持をあらためて表明した。米国はまた、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適応されることを再確認した。日米両国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する。日米両国は、困難を増す安全保障環境に即して、抑止力及び対処力を強化すること、サイバー及び宇宙を含むすべての領域を横断する防衛協力を進化させること、そして、拡大抑止を強化することにコミットメントした」と明記している。想定相手国は明らかに中国である。
人的なつながりが日米友情の基盤となっているとしたうえで、今後の日米協力を深化させる分野として、生命科学及びバイオテクノロジー、人工知能(AI)、量子科学、民生宇宙分野の研究及び技術開発をはじめ、第 5 世代無線ネットワーク(5G)の安全性及び開放性、気候変動対策などを重点的に共同で強化していくことに合意した。
 上記の合意を達成していくためには、日本の民間企業の協力なしでは、達成不可能であり、軍事力では三菱重工業や、川崎重工業など、5G関連は、日立、NEC、東芝など、AIではソニーグループや富士通などのビジネスチャンスが広がる可能性が高まっている。特にバイデン政権は、トランプ前政権とは違って、米国の貿易赤字問題には触れず、日本だけでなく欧州などの同盟国との連携強化を図る方針であるのが特徴である。従って、技術力と価格的に魅力的な製品の日本からの輸出増につながる可能性が高まっている。
米国からみれば、中期的に輸入品が増える場合に、ドル安よりもドル高である方が都合がいい。米国も巨額の財政赤字をさらに拡大させるのではなく、秩序だった財政のコントロールを目指すことが予想され、中期的にはドル高政策が予想される。
 足元の為替相場は、まだまだコロナ禍での景気正常化を見据えた動きが続いており、米10年債利回りの動向が主要な変動要因になっているが、政治的な対中戦略が動き出しモノの移動に具体的に表われるようになり、米10年債利回りが落ち着いてくると、ワクチン接種率の差による経済の全面正常化時期の見通しの差や、新たな国際秩序へ向けた要因が、為替相場の材料になりやすい。新型コロナウイルスの沈静化、日欧との同盟関係の深堀りなど米国のリーダーシップが意識されやすく、ドル/円相場とユーロ/ドル相場でのドル買いトレンドが続く可能性がある。
 


IMF(国際通貨基金)の最新世界経済見通しとワクチン接種率と今後の景気回復スピード比較   2021/04/13(火)10:34:09  
   4月6日にIMF(国際通貨基金)が最新の「世界経済見通し(World Economic Outlook)」を発表した。新型コロナウイルス感染がまだ拡大している中で、各国の立場の違いによる「広がる復興格差 回復を進める」をテーマに、世界経済の回復度合いを分析している。
 世界経済全体としては、米国がバイデン政権誕生後に、3月に成立させた約1.9兆ドル(約220兆円)の経済対策が、米国だけでなく世界GDP成長率の押し上げ要因になるとして、2021年を6.0%、2022年は4.4%成長見通しとしている。
 2021年は米国が先進国の中で、唯一コロナ前の経済規模を超える成長になるとし、米国自体は6.4%見通しとしている。中国は2020年にすでにコロナ感染前の経済規模を上回って成長しており、2021年のGDPは8.4%見通しとしており、中国の全人代が2021年の見通しとしている6.0%以上としている目標を大きく上回る成長を予測している。一方で、欧州や日本などは、コロナ前の経済規模に戻るのは、2022年と見通しており、コロナ感染が続く間は、経済の低迷が続き、ワクチン接種の進展度合いが大きく景気回復度合いを左右するとしている。ユーロ圏の2021年見通しは、4.4%、2022年は3.8%としている。日本については、2021年見通しは、3.3%、2022年は2.5%としている。
 こうした世界経済の回復は、2021年後半にワクチン接種効果による景気回復を前提にしており、特に強い悪影響を受けている観光業や農産業の一次産品を輸出している国々の景気回復はGDPの損失が大きくなると指摘している。特に充分な財政政策を打ち出せない国々にとっては、先進国による景気回復につれて、金利が上昇すると債務返済の困難さが高まる問題もあり、先進国は金利の上昇には、世界情勢を勘案して慎重にするように求めている。世界全体では、2020年に貧困層に分類される所得の水準の人口が9500万人も増加しており、長期的な経済の後遺症が残るのを避けるために、対応策をとるように提言している。ただし、経済の後遺症としては、各国政府の積極的な財政政策の効果から、2008年のリーマンショックよりも、少なくて済みそうだとしている。一方で、低所得国や新興国はワクチンの確保や経済対策が充分に整えることができずに、コロナ後の回復に深い傷となるリスクを指摘している。
 新型コロナウイルスのワクチン接種率を比較すると、米国では人口の35.3%にあたる1億1714万2879名が1回以上の接種を受けている。日本では、人口の1.2%にあたる159万2517名しか1回以上の接種を受けていない。ワクチン接種率はG7先進国の中では最も低い。欧州の新型コロナウイルスのワクチン接種は、ドイツ、フランス、イタリアで約17%以下とワクチン接種率が低く、遅れている。英国は、新型コロナウイルスのワクチン接種率が人口の約47%まで進んできており、7月末までには全成人についてワクチン接種を完了させるとしている。
足もとの為替相場は、米国の10年債利回りの動向が主要な変動要因になっているが、利回りが落ち着いてくると、こうしたワクチン接種率の差による経済の全面正常化時期の見通しの差が、為替相場の材料になりやすい。新型コロナウイルスの沈静化においても、米国の回復スピードの速さが意識されやすく、ドル/円相場とユーロ/ドル相場でのドル買いトレンドがしばらく続く可能性が高まっている。
 


米バイデン政権の2兆ドルのインフラ投資戦略と世界戦略   2021/04/06(火)08:33:10  
  バイデン米大統領は、3月に成立させた約1.9兆ドル(約209兆円)の追加経済対策に続き、間髪を入れずに、31日には、約2兆ドル(約220兆円)の橋や鉄道などのインフラ投資を行う経済対策案を発表した。
1.9兆ドルの経済対策の財源は主に米国債の発行で補うことが予想されていることから、米10年債を含めた長期の国債利回りの大幅な上昇要因になったものの、今回は、共和党との協議を経て修正される可能性もあり、財源の一部を増税で示したことから、米10年債を含めた長期の国債利回りの大幅な上昇要因にはまだなっていない点が特徴である。
 1.9兆ドルの経済対策は、個人への給付金や中小企業対策など、本年度中に執行されることが念頭に打ち出された対策であるのに対し、インフラ投資案の方は、規模では2兆ドルと巨額であるものの、8年間での対策となっており、年平均でみれば、1年あたり、2500億ドル(約27兆5000億円)となり、1.9兆ドルのおおよそ13%程度の規模である。
 しかし、その中身はバイデン大統領の戦略的な内容になっている。長期的な失業になる恐れのある方々へ向けた失業対策を行おうとしている点がその目的の1つ。米国内の道路建設整備、鉄道網の整備、電気自動車の給電ヵ所を50万ヵ所設置などで約6210億ドルがあてられている。インフラ投資として、橋やダムを建設することは、日本でも昭和の時代に頻繁に行われていたこともあり、新しい仕事を増やすことによって、コロナ禍で長期的な失業になるリスクの高い、飲食店や観光業では働いてきて、現在も失業状態にあるヒスパニック系や黒人の方々への職種転換を促し、失業者を減らすそうという意欲的な内容である。
 次に、中国との主導権争いで米国がリードを保ち続けることを目的にした政策として、半導体の工場誘致など設計から製造までの内製化に向けた製造業対策に3000億ドルが充てられている。また、風力発電による環境エネルギー対策に1000億ドル充てられており、新型コロナウイルスワクチンの開発で注目を集めたバイオやAI関連を後押ししていくために1800億ドルをあてるなどの内容があげられている。
一方で、資金源確保として、法人税減税の21%→28%への引き上げや、富裕層への増税を示唆。財源確保の増税については、共和党が猛反対することが予想され、この計画通りインフラ投資策が可決されるかは不透明である。3月に成立した先の1.9兆ドルの経済対策は、現在のコロナ禍での緊急対策で、年度内で1.9兆ドルが使われるものの、今回のインフラ投資案は、8年間での内容なので、効果が違ってくる。
 また、2008年のリーマンショックなど、これまでの世界の景気後退局面からの回復過程では、米国主導で世界景気の回復をけん引してきたが、今回も同じく世界景気をけん引していこうとする覚悟がうかがえる。
 中国の脅威が世界的に懸念されるなかで、トランプ政権では米国の貿易赤字の解消が重要ポイントとして注目されていたが、バイデン政権では米国の貿易赤字面には触れておらず、むしろ、人権や法制度といったルールに重点を置いて、米国の国内景気を早期に立て直し、日本や欧州からの積極的な輸出を受け入れることで、米国の世界的なリーダーとしての存在回復を目指していることがわかる。新型コロナウイルスの沈静化が進むまでは、米国のリーダーシップが意識されやすく、ドル/円相場とユーロ/ドル相場でのドル買いトレンドが続く可能性が高まっている。
 


FRBによる3月時点の米国景気先行き見通しと、FRB議長と債券市場との対話の落としどころ   2021/03/23(火)09:14:11  
   米10年債利回りの上昇が止まらない。
新型コロナウイルスのワクチン接種がようやく順調に進み始め、感染拡大ペースが鈍化してきた米国で、株式相場やドル相場に最近大きな影響を与えてきているのが、米10年債利回りの動向である。昨年10月30日には、0.877%であった利回りが、今年の3月に入って、1.6%台と4ヵ月程度でおよそ1.9倍にまで急上昇している。米国景気の回復期待と、先行きの物価上昇への懸念が、上昇要因になっている。
 米10年債利回りの上昇は、米国だけでなく、欧州や日本国債などの上昇要因になっており、11日のECB(欧州中央銀行)金融政策理事会では、キッパリと長期金利の上昇を抑えるために、国債購入を増額する姿勢を鮮明にしたことから、16日と17日のFOMCでも、長期金利上昇を明確に抑えるコメントが期待されていた。
17日のFOMCでは、声明文でこれまでになく、インフレという言葉を多用し、「新型コロナウイルスのパンデミックは、米国および世界中で多大な人的および経済的苦難をもたらしている。回復ペースが鈍化した後、経済活動と雇用の指標は最近上向いたが、このパンデミックによって最も悪影響を受けた業種(旅行、ホテル、飲食、航空など)は脆弱なままだ。委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す。この長期的な目標を下回るインフレ率が続いているため、FOMCは当面、2%をやや上回る程度のインフレ率の達成を目指す。これによりインフレ率は時間とともに平均で2%になり、長期的なインフレ期待は2%にしっかりととどまる。これらの結果が達成されるまで、FOMCは緩和的な金融政策の姿勢を維持すると予想する。FOMCの最大雇用と物価安定の目標に向けてさらに著しい進展が見られるまで、FRBは引き続き米国債の保有を少なくとも月800億ドル、およびMBS(住宅ローン担保証券)の保有を少なくとも月400億ドル購入を続ける」とし、インフレという言葉をこれまでにないほど丁寧に繰り返し、脆弱な業種を含めて、雇用最大化を目指し、それまでは金融緩和を続けるとはっきり述べ、長期金利が著しく上昇するのを抑えるために、債券購入額を続けると明言しているのが特徴。長期金利の上昇を抑える旨の内容が盛り込まれたのだが、委員会後の会見で、記者がパウエルFRB議長に対し、「長期金利の上昇は景気にマイナスか。他国は上昇を抑える措置をとっているが、パウエル議長の見解は」への答えが「現在の金融政策は緩和的だが、金融市場で金利がしつこく上昇することで市場の秩序を乱すことになれば、我々の目標達成には弊害となる。政策金利の誘導水準と資産買い取りの水準は緩和的な状態を維持しており、景気を支えている」とコメント。11日のECBのように長期金利の上昇を抑えるために行動をとるといった明言がここでもないことから、米10年物国債利回りは上値を試す動きで、18日に年初来最高の1.754%台に上昇している。この10年債利回りの上昇が続いており、ドル/円相場ではドル買い・円売りトレンドが続いている。
 こうした声明文であったので、米国株式相場は2023年までの政策金利を引き上げないことを好感し、上昇している。一方で、債券市場では、同時に発表された、FRBメンバーの先行きの見通しで、インフレ率の指標としているPCE価格指数の中央値が2021年:2.4%、2022年2.0%とパウエルFRB議長が繰り返し述べているとおり、一時的には2.0%を超える場面があっても、その後低下するとしている見通しで、2023年までの政策金利据え置きが明確にになっているにもかかわらず、不信感をいただく感じで、米10年債が売られ、利回りが上昇している。 
株式市場との対話は成功しているものの、債券市場との対話で、パウエルFRB議長がうまくいっていない状況である。足元の10年債利回りが1.7%台であるのに、一時的にせよ、2.4%あたりまで物価が上昇する場合は、まだ0.7%も下落余地があることになるので、債券市場では、パウエルFRB議長の長期金利上昇を抑えるといったコメントを催促している状況になっている。
ちなみに、米地区連銀の1つである、セントルイス連銀が公表しているインフレ率を考慮したブレイク・イーブン10年債利回りは、19日現在で、2.31%以上となっており、足元の10年債利回りの1.725%と比べて、約0.6%も開きがある。この差を埋めるように10年債利回りが上昇を続けると、ドル買いトレンドが続くことになる。債券市場では、どの水準でパウエルFRB議長が、長期金利のこれ以上の上昇を望まないというコメントをするのか、試す相場展開になってきている、いわゆる債券市場の催促状況である。
今週はパウエルFRB議長が、23日に下院と、24日に上院での議会証言がある。24日の上院での証言には,前FRB議長でもあるイエレン財務長官も同席する。
ここでも、債券市場が期待しているようなコメントが得られないと、セントルイス連銀が公表しているインフレ率を考慮したブレイク・イーブン10年債利回りと、足元の10年債利回りの1.725%と比べて、約0.6%も開きを埋めるように、米10年債利回りの上昇が続く可能性がある。
 好調な米株式市場であるが、S&P500種平均株価の予想配当利回りは、19日現在で1.49%であり、これ以上の米10年債利回りの急上昇は、株式市場から債券市場への資金シフトを誘発するリスクがあるので要注意である。
ドル/円相場とユーロ/ドル相場でのドル買いトレンドがいつまで続くのかを占ううえで、注目のイベントである。
 


欧州でのコロナ感染防止策の遅れと、ユーロ安誘導にかじを切ったECB   2021/03/16(火)07:43:35  
   米国では、昨年12月にファイザー社とモデルナ社のワクチンが緊急使用許可を受けてワクチン接種が始まったものの、今年の2月あたりまでは、製薬会社の生産体制の遅れもあって、なかなかワクチン接種が進まなかった。しかし、2月27日に3社目となるジョンソンエンドジョンソン社(以下、J&J社)のワクチンを認可したことで、ワクチンの供給が増えて、ワクチン接種が順調に進みだしている。特に、J&J社のワクチンは1回の接種で抗体ができるので、今後はさらに接種率が進む見通しである。現在では、1週間で約230万回以上を接種できており、11日にバイデン米大統領は、5月1日までに、ワクチン接種を希望する18歳以上の米国の成人全てに1回目のワクチンを接種できるように各州の知事に指示を出している。
 ちなみに、18歳以上の米国の人口は、約2億5844万人いる。米国防総省では、米兵の約3分の1がワクチン接種を拒否しているとし、高齢者以外の米国人にも、ワクチン接種を拒否する人が相当数いるとされている。13日6時現在で18歳以上の米国人のうち6888万4011名が1回以上の接種を受けている。5月1日までに希望者全員の1回以上の接種が視野に入ってきた。感染が広がりにくくなるとされる集団免疫の状態は、人口の70%から90%以上免疫を持つ必要があるとされるので、5月1日時点でバイデン大統領の掲げる目標を達成できたとしても、集団免疫のできる人口の70%には届かない。しかし、8日に米CDC(疫病対策センター)は、ワクチンを2回接種できた市民は、最後の接種から2週間後には免疫ができるとして、免疫ができた後は、マスクをつけないで、社会的距離も気にせずに人と室内で会話ができる、また、免疫ができたのちに、新型コロナウイルスに感染しても、症状がでなければ、検査や隔離をしなくてもよいというガイドラインを発表した。足元では、1日に6万人以上の新規感染者が出ている状況で、感染防止対策は緩めないとしつつも、年内には、集団免疫ができ現状の移動規制や営業時間規制が解除される可能性が高まってきた。
 これに対し、欧州の感染対策は後れを取っている。1つはワクチンの供給が遅れ、接種率が低く、さらに、英国の変異型ウイルスが拡大し始めており、ドイツは都市封鎖を3月28日まで延長を決定。イタリアも15日から4月6日まで再度都市封鎖を開始しているほど。こうした事態に危機感を強めたのがECBである。
 11日に開かれたECB金融政策理事会では、現状維持が決定されたものの、「次の四半期にかけて、パンデミック緊急購入対策での買い入れを今年の初めの数カ月と比べてかなり速いペースで実施すると理事会は予測している」として、欧州でも長期金利の上昇を抑えるために、国債購入を増額する姿勢を鮮明にしたことから、世界的に各中央銀行は長期金利の上昇を抑える動きになるとして、米10年債利回りも11日には1.475%まで低下する場面があり、ユーロ/ドル相場でドル売り・ユーロ買いになり、1.1989ドルまでユーロが買い戻される場面があった。
 理事会後の会見で、ラガルドECB総裁は、「欧州経済は、継続するパンデミックと(移動制限などの)感染拡大抑制策により、2021年第1四半期の経済は再びマイナスになる可能性が高い。インフレは中期的に緩やかなペースで上昇するだろう。インフレ率は、主に一過性の上昇要因とエネルギー価格高により、過去数カ月で上昇している。一方で、需要の低迷や労働市場と生産市場における大幅な緩みができており、基調的な物価圧力は依然として抑えられている。このような状況で、大規模で持続的な市場金利の上昇が続くと、経済の全部門で、金融環境が時期尚早に引き締まるリスクがある。引き続き良好な資金調達環境をささえるなかで、市場金利の持続的な上昇は好ましくない。ECB理事会では次の四半期に月次の資産購入を大幅に拡大することが正当化されると全会一致で決定した。ただし、特別な日時や金利水準などのイールドカーブコントロールではない。パンデミック緊急購入対策の買い入れを調整していく。バイデン米大統領の(1.9兆ドルの)経済刺激策は効果があると確信している。米国内への効果が多く盛り込まれているが、米国の需要がユーロ圏や他国といった外需に向かう可能性があり、ユーロ圏の先行きの経済見通しに好影響を与える可能性がある。ユーロ圏は引き続き、高いコロナ感染拡大と、変異型の拡大に伴って、感染拡大防止が経済活動の重しになる。ECBはインフレ率が持続的に目標に向かうことを確実にするために必要に応じてあらゆる手段を調整する用意がある。中期的にインフレ率に影響する為替相場の動向を引き続き注視していく」として、長期金利の上昇抑制と、ユーロ相場の過度な上昇を警戒し、抑制する見通しを示している。
 ユーロ/ドル相場は、米10年債利回りが急上昇した、2月25日を境にして、2月26日以降は日足チャートで長期のトレンドを示すとされる75日移動平均線を割り込んで推移し始めており、ドル買い・ユーロ売りトレンドになりつつある。3月11日のECBの政策決定とラガルドECB総裁の会見で、長期金利の抑制と、ユーロ相場の上昇を監視していく姿勢が示されたことで、ユーロ/ドル相場はユーロ売りトレンドが続く可能性がある。
 注目は、18日未明に開かれる米FOMC。大方の投資家の予想では、現状維持見通しであるが、会合後のパウエルFRB議長のコメントが注目されている。3月4日にパウエルFRB議長は、米10年債利回りの上昇について、「無秩序な動きとも、FRBによる介入が必要とも考えていない。」とコメントして、米10年債利回りが、上昇する要因になったが、毎週木曜日に発表される、FRBの債券購入残高の推移をみると、2月4日〜3月3日までの1ヵ月間で購入した満期が2年〜30年までの米国債の累計額は856億ドル、インフレ連動債を9億ドルと、合計952億ドルを購入しており、1月から2月3日までの1ヵ月間よりも、154億ドルも多く購入していることが分かった(3月10日発表分も1週間で217億ドル購入)。その結果、FRBも実際は、10年国債をはじめ期間の長い国債の利回り上昇を、何とか抑え込もうと金融調節を行っていることがわかってきている。
そこで、18日未明の会合後のパウエルFRB議長がより踏み込んで、長期金利の上昇を望まないといったコメントが出れば、米10年債利回りの低下→ドル売り要因になる。
 一方で、3月4日と同様な「無秩序な動きとも、FRBによる介入が必要とも考えていない。」とコメントを繰り返せば、米10年債利回りが1.7%以上に上昇するリスクがある。(その場合は、ドル買い要因)
ドル/円相場とユーロ/ドル相場でのドル買いトレンドがいつまで続くのかを占ううえで、注目のイベントである。
 


10年国債利回りの上昇に対する米FRBとECB、RBA、日銀のスタンスの違い   2021/03/09(火)13:20:08  
   2月25日以降、米10年債利回りの上昇傾向と、欧州、豪州、日本の国債利回りも上昇傾向になっている。
米10年債利回りは、2月24日の終値ベースの利回りは、1.38%であったのが、3月5日には、1.625%まで上昇する場面があった。5日の終値ベースでは、1.566%で、1週間程度で0.186%も上昇している。
 欧州では、ドイツ10年債利回りは同様に、-0.304%であったのが、-0.21%をつける場面があったものの、5日の終値ベースでは-0.304%と乱高下しつつも同じ水準順になっている。フランス10年債利回りは、同様に-0.041%であったのが、-0.21%をつける場面があったものの、5日の終値ベースでは-0.055%に低下している。リーマンショック時に、国債の一部がデフォルトした、ギリシャの10年国債利回りは、同様に1.011%であったのが、1.139%をつける場面があったものの、5日の終値ベースでは0.966%になっている。現状では、世界一信用力の高いはずの米10年債利回りよりも、リーマンショック時にデフォルトしたギリシャ10年債利回りの方が低い。
欧州では国によってまちまちではあるが、総じて、米10年債り利回りのような急上昇はなく、うまく抑えられている。
 豪10年債利回りは、同様に、1.615%であったのが、1.871%をつける場面があったものの、5日の終値ベースでは1.783%と乱高下しつつも、1週間程度で0.168%も上昇している。
 日本の10年債利回りは、同様に、0.12%であったのが、0.155%をつける場面があったものの、5日の終値ベースでは0.08%と乱高下しつつも、1週間程度で0.04%上昇している。
 欧州と日本を除き、相対的に各10年債利回りは、上昇している。
これは、そもそも英国で、新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなかで、景気回復期待が高まり、英10年債利回りが上昇し始めたのをきっかけに、米10年債利回りが上昇する流れになったことが始まりである。
 ただし、ここにきて上昇している米国と、低下している欧州、日本とは各中央銀行の政策スタンスで違いが出る結果になっている。
 というのも、米国では、2月23日、24日の米議会証言で、パウエルFRB議長が、最近の米10年債利回りの上昇は、景気の回復期待を反映したものであるとして、利回り上昇を容認する発言を行ったことが切っ掛けとなり、25日以降の急上昇につながっている。さらに、3月4日にもパウエルFRB議長は、「10年債利回りの上昇に注視しているが、無秩序な動きではなく、FRBの介入が必要だとは考えていない。現状のFRBのスタンスは適切である」と再度、利回り上昇を容認するコメントを出している結果、上昇している。
 一方、欧州では、3月2日にデギンドスECB(欧州中央銀行)副総裁が、「債券利回りの望ましくない上昇に対し、十分対応できる柔軟性をECBは持っている」とコメント。パネッタECB専務理事も「債券利回りの上昇を抑えるため、ECBは債権買い取理学の増額や、買取プログラムの拡大を積極的に行うべきだ」とコメントしており、米パウエルFRB議長よりも明らかに債券市場の利回り上昇をけん制する発言をしていることから、先週の欧州の国債利回りは低下する流れになっている。
 日本でも、5日に黒田日銀総裁が、国会での答弁で「(10年物国債をゼロ%程度に誘導する長期金利の)変動幅を拡大する必要があるとは考えていない」とコメントしたことで、利回りが低下している。
 豪州は、3年債利回りの利回り水準を政策目標にしているが、2月25日以降断続的に、国債の買い取り額を増額しており、明確に利回り低下を促す金融政策を行っている。にもかかわらず、利回り上昇を抑えきれていないという状況である。
 このように、米FRB以外は、明確に自国の10年物国債の利回り上昇を抑える金融政策スタンスをとっているのに、米国だけでが、利回り上昇を容認しているという差が利回りの動向に出ている。その結果、米ドルが直近の2週間は、多通貨に対し強い通貨になっている。
 今週は、米10年債利回りがどの程度まで上昇するのか、天井を探る展開になる。米国の物価指標の1つである、CPI(消費者物価指数)の2月分の発表が、3月10日に予定されている。事前予想では、前年比∔1.7%見通し(1月:1.4%)と大幅な上昇見通しである。5日には1.625%をつける場面があったが、2月のCPIが、1.7%を超えてくれば、米10年債利回りは、もう一段上の1.7%台を目指す可の可能性がある。(ドル買い要因)。反対に、CPIが上昇せずに低下すれば、米10年債利回りが低下し、ドル売り要因になる。
24日の米FOMCを控え、FRBメンバーやイエレン財務長官などから、こうした米国債利回りの上昇をけん制するコメントがでるか注目である。
 


日米欧の株式相場の急落を誘ったWTI原油先物価格動向と米10年債利回りの目先のめど   2021/03/02(火)09:14:39  
  WTI原油先物価格は、2月25日には年初来高値となる63.81ドルをつける場面があった。昨年の11月以降、原油先物価格が右肩上がり相場になっている。昨年10月30日の35ドル台から、わずか4か月間でおよそ1.8倍にもなっており、原油先物価格の上昇の要因は、新型コロナショックでの需要の大幅な落ち込みに対し、OPEC(石油輸出機構)にロシアなどの産油国が集まった、OPECプラスでの協議がうまくいっており、協調減産できていることが大きい。これに加えて、昨年12月から、ようやく新型コロナウイルスワクチンができ、英国で国民の約27%、米国で約19%、欧州ではまだ4%台であるが、ワクチン接種が進み始め、現状では感染防止効果がではじめており、世界景気の正常化が期待され、先行きの石油の需要増を見越した買いが、原油先物市場を押し上げている。また、米テキサス州の寒波で石油施設の約10%が休業となっていることも、買い要因になっている。
米国の移動手段は、自動車が主力であり、原油先物価格の上昇は、物価上昇を強く感じる1要因であり、4ヵ月で価格が約1.8倍になり、この先、景気がさらに良くなれば、もっと物価が上がるのではないかと感じるのは自然である。こうした物価上昇懸念が広がっており、26日に発表の米国のインフレ率の指標である1月のPCE価格指数は前年比∔1.5%に上昇。価格変動の大きい、食品とエネルギーを除くコアPEC価格指数も同∔1.5%に上昇しており、価格変動が大きい食品とエネルギーを除いても物価が上昇する兆しがある。
こうした生活感のなかで、23日と24日の議会証言で、パウエルFRB議長は、「金融政策では、政策金利はこれまで通り(2023年あたりまで)上げない」とはっきり言ったものの、一方で「最近の国債利回りの上昇は、金融市場が正常化しつつある動きであり、最近の物価上昇は一時的なもので、持続して(前年比∔2.0%となるような)FRBの目標の達成には3年程度かかりそうだ」という認識を示した。
債券の投資家としては、FRBは物価の上昇を注意深く見守っているので、適宜必要な対策をとるといった、コメントを期待していたのに、FRBは米国債利回りがまだ上昇しても放置するつもりだといった受け止められ方をされて、国債が売られる流れが加速している。25日は10年債利回りは、1.614%まで一気に上昇した。
利回り上昇から、26日にドル/円相場でドルが106.6円まで買われ、年初来高値を更新する場面があった。
なお、10年債利回りの急上昇を嫌気して、26日には日本、欧州、米国の株式相場が急落したことで、FOMCメンバでーあるアトランタ連銀のボスティック総裁は、米国債利回りの上昇について、水準としてはまだ低水準であるが、注視し続けるとコメントするなど、これ以上の急上昇をけん制する発言がみられている。今週は、FOMCメンバーやイエレン財務長官などから、こうした米国債利回りの上昇をけん制するコメントがでたり、WTI原油先物価格が下落すると、米10年利回りが低下し、ドル売り要因になる。
米10年債利回りは、WTI原油先物価格と同様に、昨年10月30日には0.877%であったのが、2月25日に一時、1.614%まで上昇しており、4ヵ月で約1.8倍の利回りになった。この金利上昇ペースが速いことも懸念されている。
 ただし、今後も石油先物価格が上昇を続けていくかは、難しい。世界的に石油生産の最も生産性が悪いとされる米国のシェールオイルでも、50ドル台が損益分岐点であり、60ドル台になると利益がでる水準であり、米国は、OPECプラスとは強調していない。60ドル台の価格が続けば、米国のシェールオイルが増産され、供給面で過剰感が出て、価格の下落が予想される。原油先物価格の上昇が、先行きの米国のインフレ上昇懸念を招いており、米10年債利回りの上昇要因の1つになっているので、WTI原油先物価格が下落するとインフレ懸念が和らぐ可能性がある。
 景気回復面では、ワクチン接種が進んでいる英国でも、都市封鎖の完全解除は6月の見通しで、飲食店や観光業などが完全正常化に向かうかどうかは、それ以降であり、感染動向次第である。
 米国では、自然免疫ができるとされる人口75%のワクチン接種が見込まれるのは、早くても、2022年初め頃とみられており、観光業や接客業の完全正常化はその先であり、まだ時間がかかりそうである。
 バイデン政権がまとめている1.9兆ドルの失業対策は今年の9月末までの分であり、完全正常化がまだ先になるならば、現在失業している人々の消費行動は慎重になる可能性がある。
従って、FRBは2023年あたりまで物価上昇が持続して2.0%を超える状況は難しいとみており、政策金利も2023年あたりまでゼロ金利の維持をコメントしていることから、一旦、足元の10年債利回りが低下する可能性が高いとみている。ワクチン接種の進捗と、具体的な規制解除が進む中で、雇用が充分に回復しないと、インフレ率の長期的な上昇はパウエルFRB議長が述べるような見通しになる可能性が高い。
では、米10年債利回りの目先の上昇めどはどのあたりになるのか。米国のインフレ率の指標である1月のPCE価格指数は前年比1.5%となっており、これを上回る水準である1.6%から1.7%あたりが目先の利回りのめどと分析している。25日に一時1.614%をつけたことから、これが目先の天井と意識されれば、1.2%台までゆっくり低下する可能性もある。
FOMCメンバーやイエレン財務長官などから、こうした米国債利回りの上昇をけん制するコメントに注目。
なお、米10年債利回りの低下は、ドル/円相場で、ドル売り要因になる。
 


WTI原油先物価格動向と米10年債利回りの目先のめど   2021/02/23(火)09:15:38  
  昨年の11月以降、原油先物価格が右肩上がり相場になっている。
WTI原油先物価格は、昨年10月30日の35ドル台から、先週の2月18日には、62.26ドルをつけており、およそ1.8倍にもなってきている。原油先物価格の上昇の要因は、新型コロナショックでの需要の大幅な落ち込みに対し、OPEC(石油輸出機構)にロシアなどの産油国が集まった、OPECプラスでの協議がうまくいっており、協調減産できていることが大きい。これに加えて、昨年12月から、ようやく新型コロナウイルスワクチンができ、英国や米国、欧州などでワクチン接種が開始され、現状ではおおむね感染防止効果がではじめており、世界景気の正常化が期待され、先行きの石油の需要増を見越した買いが、原油先物市場を押し上げているからである。
 ただし、今後も石油先物価格が上昇を続けていくかは、難しいとみている。というのも、世界的に石油生産の最も生産性が悪いとされる米国のシェールオイルでも、50ドル台が損益分岐点であり、60ドル台になると利益がでる水準であるからである。米国は、OPECプラスとは強調しておらず、最近の原油先物価格の上昇は、米国の物価の上昇要因になっている。コロナ禍で、接客業や観光業がまだまだ営業自粛を強いられている現状での物価上昇は好ましくない。米国の移動手段は、まだ自動車が主力であり、原油先物価格の上昇は、個人給付を手厚くしても、その経済の下支え効果をそぐ要因になる。原油先物価格の上昇が、先行きの米国のインフレ上昇懸念を招いており、米10年債利回りの上昇要因の1つになっているので、米国内で今後、積極的なシェールオイルの増産が始まれば、WTI原油先物価格が下落する可能性がある。
米10年債利回りは、2月15日以降は上昇基調が続き、ドル買い要因になっている。19日には1.363%まで上昇する場面があった。特に、1.9兆ドルのバイデン政権の財政政策の実施期待と、WTI原油先物の上昇傾向が続いていることで、米国のインフレ率の上昇懸念が重なり、米10年債利回りの上昇要因になっている。
ただし、米2年債利回りは、18日発表の前週分の新規失業保険件数が5週連続で80万件以上と高水準であることから、足元の米国の雇用市場の回復の鈍さを警戒して、安全資産が買われ、利回りは低下している。
では、10年債利回りの目先の上昇めどはどのあたりになるのか。米国のインフレ率の指標である1月のCPIは前年比+1.4%、12月のPCE価格指数は同1.3%となっており、これを上回る水準である1.4%から1.5%あたりが目先の利回りのめどになるとみている。今週ももう一段上昇する可能性が高まっており、ドル/円相場でのドル買い要因になる。
 


足並みを揃えたバイデン政権とFRBによる雇用対策   2021/02/16(火)07:21:41  
   2月10日のパウエルFRB議長のニューヨーク経済クラブでの講演は、バイデン政権の雇用重視政策をあらためて示す会見になった。
パウエルFRB議長は、「失業者数の現状と、新型コロナウイルス感染を克服した後の就職難の持続リスクを踏まえると、最大雇用を実現するためには、金融政策の緩和継続だけでは不十分である。官民がお互いに努力し、社会全体の雇用拡大が必要である。堅調な雇用市場を実現するには、短期的な政策と長期的な投資による継続的な支援が必要で、そういう状況にすることで、職を求めている人が技能を試す機会を与えられ、米国景気の拡大に貢献できる。さらに、全ての人が働く機会を得られれば、繁栄の恩恵を受けられるようになる。堅調な雇用市場の恩恵を十分に実現するには、短期的な政策と長期的な投資による継続的な支援が必要である。そうすることで職を求めている全ての人が技能と機会を与えられ、米国の繁栄に貢献するとともに、繁栄の恩恵を享受できるようになる。米国経済を最大限盛り上げて、米国の繁栄を共有するための国家戦略が望まれる」とコメントしている。
 従って、1.9兆ドルの経済対策を実行することで、米経済成長が加速し、物価上昇を招きやすいことから、足元では米10年債利回りが上昇傾向になっていることには触れず、物価よりも雇用重視の姿勢を示している。
12日のG7財務相・中央銀行総裁会議で、イエレン財務長官は、参加各国の財務相と中央銀行総裁に対し、「今こそ、大きな政策を行うべきときだ」として、各国に対し、新型コロナウイルスのパンデミックによる各国の経済減速に対して、金融と財政両政策を積極的にとるように呼び掛けている。
バイデン政権は、総額1.9兆ドルの財政政策を、下院と上院ともに、民主党単独で可決させる姿勢を示しており、バイデン政権、イエレン財務長官、パウエルFRB議長が一致して、雇用対策を重視していく姿勢を示している。
 米10年債相場は、1月25日以降は利回りの上昇傾向が続き、2月8日に節目となる1.20%まで売られた後は、これまで売られてきた買い戻しが入る展開になり、10日には1.12%まで低下する流れになった。しかし、パウエルFRB議長やイエレン財務長官のこうしたコメントから、トランプ政権同様に米国経済のアクセルをフル稼働させる姿勢を示したことで、米国景気回復に伴う、物価上昇を織り込み始める感じで、10年債は再び売られる流れになっており、12日には1.213%まで利回りが上昇している。
 米10年債利回りの上昇は、ドル/円相場で、ドル買い要因になるので、ドル買いトレンドに向う可能性が高まっている
 


米2年債と10年債利回りで迷いがみられる米国景気の方向感   2021/02/09(火)06:54:50  
  最近の米国債利回りの利回りの動向をみると、米国景気の見方に差が出てきていることがわかる。というのも、米国の短期金利の指標である米2年債相場は、総じて買われ利回りが3週連続で低下している。2月5日発表の米1月の非農業部門雇用者数が前月比+4万9000人にとどまり、足元では米国景気の減速が続くことへの不安が高まり、昨年5月8日につけた、史上最低利回りの0.105%をつけるほど低下する場面があった。
一方、米国の安全資産で長期金利の指標でもある米10年債相場は売られ、利回りが上昇している。理由は、英国が新型コロナウイルス対策で、ワクチン接種が進み始めて、3日には英国民の約15%にあたる1000万人を達成。2月15日までに感染リスクが最も高い1500万人の接種が達成できる見通しを示したことと、4日に開かれたBOE金融政策委員会で、今後の英国景気見通しを、1-3月期は縮小するものの、ワクチン接種の取り組みによって、景気は急回復に向かうとの見通しを示したことから、英10年債利回りが上昇し、英国に次いで、ワクチン接種が進みつつあり、1.9兆ドルの景気対策が期待され、長期的には米国の景気回復が見込めれることから、米10年債利回りは上昇する流れになった。5日には1.18%まで上昇する場面があった。
このように、2年債利回りは足元の新型コロナウイルス感染拡大で、雇用が低迷している米国景気の不安さを反映して、買われ、利回りが過去最低水準まで低下している一方で、長期的には米国景気の回復を見込んで、10年債は売られ、利回りが上昇している。
国債の満期までの期間を短い順から、長い順に横に並べて、利回りの傾きをグラフ化したものを、イールドカーブと呼ぶが、米国債利回りを比較すると、2年債利回りが、0.105%、10年債利回りが1.18%ということは、年数が長い国債の利回りが高いので、これは正常な状態といえる。
一方、米国の物価指数であるPCE価格指数では、直近の数値である昨年12月は前年比+1.3%であるので、物価上昇率が1.3%であるのに比べて、米2年債利回りは0.105%ということは、2年債利回りが低すぎるのか、インフレ率が高すぎるのか、どちらかである。米国の政策金利は0%〜0.25%としており、物価は低いながらも上昇しているという点を踏まえると、2年債が買われすぎで、利回りが低下しすぎているということになる。
現状の新型コロナウイルスの米国経済に与える影響を考えると、足元ではまだかなり不安感が強いことがわかる。米国でワクチン接種が進み、先行き懸念が和らいでいくと、2年債が売られ、利回りが少なくともその時のPCE価格指数より、高くなれば、米国景気の正常化が金融市場でも確認できることになる。
ドル指数の方向感が分かれ目になっているのと同様、米国2年債利回りが上昇するか、さらに低下するのかが分かれ目のところに来ている。2年債利回りがさらに低下するならば、米国景気への不安感が高まっている1つの証になる。
ドル指数、米国債利回りの上昇は、先行きの米国景気の回復に対するバロメーターでもあり、ドルの強さのバロメーターでもある。
 


FOMCの政策決定とドル指数の方向感   2021/02/03(水)09:17:14  
   1月27日のFOMCでは、現状維持が決定された。声明文で目立ったのは「足元の米国経済は、この数ヵ月緩やかになってきており、(新型コロナウイルスによる)パンデミックの影響を最も受けている産業(娯楽・接客サービス業、航空業など)の弱さが目立っている。景気の動向はワクチン接種の広がり具合も含め、ウイルスの拡大動向に大きく左右される状況が続く」として、先行きの米国景気の回復ペースの鈍化見通しと、遅れがちなワクチンの供給面と、ワクチンの接種が感染拡大の抑制と景気回復に大きな影響を示すとの見通しを示しているのが特徴である。
 従って、昨年11月以降、史上最高値を更新してきている米国株式相場の好調さにともなう、米10年債利回りの動向に影響を与える、資産買取額の縮小については、FOMC後の会見で、パウエルFRB議長は「FRBは米国債の購入を少なくとも月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を同400億ドルのペースで買い入れる施策を、完全雇用と物価安定目標に向けて十分に近づくまで続ける」と改めてコメントしたことから、物価目標であるPCE価格指数で前年比+2.0%と失業率でおよそ4%の達成が見込める2023年末あたりまで、現状の債券購入策が続く見通しであると改めて認識された。その結果、10年債利回りは3週連続で低下傾向になっている。1月28日には1%を割り込み、0.996%まで買われる場面があった。
 一方、新型コロナウイルスのワクチン開発動向では、すでに承認されているファイザー社とモデルナ社のワクチンに加え、1月29日にジョンソンエンドジョンソンが、開発中の常温保管可能なワクチンは、1回の接種でも、抗体への有効性が66%あることを発表。2月早々に米食品医薬品局へ承認申請する予定で、米国内では3社目の認可見通しとなっており、英アストラゼネカのワクチンにおいても、3月か、4月中には認可見通しとなっており、認可されるワクチンが増加することによって、遅れがちなワクチンの供給体制が整う見通しである。
 今後のドルの方向性を決める最も大きな要因になると思われる、主要6通貨ベースでのドル指数をみれば、先週は上昇。1月6日に安値89.206を底に反発傾向になっていることもドルが買われやすい地合いになっている。1月29日は90.77をつける場面があった。ただし、ドル指数の観点から見れば、89.206で底打ちしたのか、長期下落トレンドの一時的な反発局面かはまだはっきりしていない。29日の終値は90.584(22日:90.238)である。米10年債利回りが1%を割り込んで推移するならば、もう一段のドル指数の低下の可能性がある。
 


イエレン財務長官発言とバイデン大統領の就任演説から見るドル政策   2021/01/27(水)08:10:30  
  1月19日に米議会上院の財政委員会が開かれ、次期財務長官に指名されているジェネット・イエレン前FRB議長が演説。イエレン氏は「総額1兆9000億ドル(約200兆円)の新たな追加景気対策案は、米国の債務を大きく増加させることはよくわかっている。けれども、金利が歴史的な低金利にある現在、強い行動に出ることが重要で、長期間、苦しんでいる人たちを今支援することで、将来的な恩恵は、足元の代償を大きく上回るだろうと思っている」「競争上の優位を得るために、弱いドルを米国が目指すことはない。意図的に通貨価値を操作する外国には反対し取り組んでいく。為替レートは市場原理に従って動くと信じている」とコメントし、従来の米国政権が繰り返してきている「強いドル」を目指すと受け止められ、ドル/円相場には特に影響がなかった。
さらに増税ついては「年間所得が40万ドル(約4100万円)未満の世帯については引き続き現状維持を検討するが、それを超える富裕層については、法人税率の引き上で増収となる部分を社会インフラや社会支援等の他の投資プログラムに資金を振り向けることもできる」として、富裕層の増税を進める可能性を示した。
20日の第46代大統領就任演説でジョセフ・バイデン氏は「米国は歴史的にみて、南北戦争や大恐慌、世界大戦、9.11テロといった困難と犠牲と失敗が相次ぐなか、それでも常に私たちの善の力が勝ってきました。大変だったその時々に、必要な人数が集まり、力を合わせて、この国を前進させてきたのです。今回もまたそれができます。国民がまとまって団結して、この歴史的に危機的な脅威を乗り越えましょう。世の中は何も変わらないなどと、言わないでいただきたい。ここからポトマック川を挟んだ向こう側にはアーリントン国立墓地があり、そこでは全身全霊を捧げた英雄たちが永遠に眠っているのですから。皆さん、、ここにいる下院や上院で働く同僚はみんな、世界が自分たちを見つめていることを承知しています。世界が、今日の私たち全員を見ているのです。なので、この国の国境の外にいる人たちにはこう申し上げます。アメリカは試練を受け、前よりたくましくなって乗り越えました。私たちは同盟関係を修復し、再び世界とかかわっていきます。過去の課題に対応するためではなく、今日や未来の課題に取り組むため。神がアメリカを祝福しますように。そして神が、この国の兵を守ってくださいますように。」という民主主義の勝利と、第2次世界大戦以降、最も米国民がなくなっている新型コロナウイルスの脅威に立ち向かうこと、そして、こういった脅威に立ち向かうためには米国民が団結することが必要だと強調。重点的に富裕層ではない一般の米国民と、米国をみている世界中の人たちに向けたメッセージとなっている。
こういったイエレン財務長官、バイデン大統領の観点からも、バイデン政権での政策の柱は、コロナショックから米経済を立て直すための積極的な財政政策と低金利政策の長期化が想定される。さらに、「弱いドルを望まない」といった、これまでの米政権が繰り返してきた「強いドルを目指す」ということを言い換えていることから、「ドルの下落を想定している可能性がある。ドル/円相場は米国債利回りとドル指数の動向が注目である。
 


ドル指数と米国債利回りの関係   2021/01/19(火)07:29:55  
  1月14日にパウエルFRB議長が、「米国経済は、FRBの政策目標からまだ大きくかけ離れている状況で、われわれの行動が十分達成されていると判断できるまで、金融政策を強力に継続することを表明する。これまでの世界の金融危機の教訓は、金融緩和の解除を早まらないように注意すべきだ。現状は、出口戦略の話をする時期ではない」とコメントしたことで、米国債が買われ、利回りが低下している。米国の長期金利の指標で安全資産でもある米10年債相場は、15日には1.07%まで低下する場面があった。
このパウエル発言前は、バイデン次期政権が進めようとしている、個人給付の上積みや、州や地方政府への補助、新型コロナウイルス対策のワクチン接種推進など、追加経済対策による財政赤字拡大懸念から売られ利回りが上昇。12日には1.18%まで上昇していた。12日のドル指数の終値は90.093。
この結果をみれば、パウエルFRB議長の利回りを下げる、アナウンスメント効果は大きかったといえる。
主要6通貨(ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフラン)に対する米ドルの相対的な強さを示す、ドル指数の推移をみれば、2020年3月以降は低下傾向になっている。
直近では2021年1月5日につけたドル指数は終値ベースで89.43を底に反発してきている。ドル指数が底打ちすれば、ドルが目先は買われる可能性がある。先週のドル買いの動きは、米国債利回りの上昇要因が大きい。従って、足元のドル指数の動向のポイントは米国債利回りがどう動くかである。
先週はコロナ感染防止策の強化から指標では、新規失業保険申請件数が増加し米国景気の悪化懸念が広がり、安全資産として米国債が買われ、利回りが低下する一方、基軸通貨としてのドル買い要因にもなったことで、ドル指数は14日には90.239となった。ドル指数の変動要因は足元では米国債利回りの影響が強いものの、基軸通貨としてドルが注目される場面では、米国債利回りの動向には関係なく動くという特徴がある。
今週は、もう一段のドル指数の低下の可能性がある。20日からバイデン新政権が発足する。しばらくは、米国債利回りの動向とドル指数の動向が、ドル相場で注目である。
 


ドル指数からみるドル/円相場見通し   2021/01/14(木)13:29:55  
   米ドルの相対的な強さを示す指標にドル指数がある。ドル指数には、FRBが公表しているものと、ICE(インターコンチネンタル取引所が公表しているもの、そして、BIS(国際決済銀行)額評しているものノ3つがある。一般的に注目度が高いのは、ICEのドル指数で、主要6通貨(ユーロ、円、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフラン)に対するドルの相場を指数化したものである。ちなみに、FRBのドル指数は米国と取引のある26通貨を対象に指数化。BISのドル指数は、さらに40通貨における米ドルの相対的な強さを指数化しているのが特徴である。
 ICEのドル指数の推移をみれば、2020年3月以降は低下傾向になっている。
新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に広がり始め、一時的に基軸通貨であるドルが買われたものの、都市封鎖やワクチン開発などから、世界的な金利引き下げ、特に米国も政策金利であるFFレートの誘導目標が、0-0.25%になっており、米国の国債利回りの低下に伴って、相対的なドルの魅力が低下しているのが現状である。
昨年3月以降のドル/円相場は、相対的にドル指数の低下に連動して、ドル買い傾向になっている。ただし、過去3年で直近の安値圏である2018年2月のドル指数は、終値ベースで88.59をつけた後、反転していることから、2021年1月8日のドル指数の終値は90.09であり、この辺りで、ドル指数が底打ちすれば、ドルが目先は買われる可能性がある。ポイントは米国債利回りの動向。20日に誕生するバイデン新政権が、巨額の財政赤字を伴った財政政策を行うならば、米国債利回りが上昇して、ドル指数の上昇要因になるが、コロナ感染の深刻さで、失業者、指標では新規失業保険申請件数が増加し米国景気の悪化懸念が広がると、米国債が買われ、利回りが低下し、もう一段のドル指数の低下の可能性があり、今後はドル指数が下げ止まるか、さらに下落するのかが注目である。
 


2021年の米国の経済見通しとドル/円相場見通しのカギを握る米ジョージア州選挙   2021/01/04(月)16:55:36  
  2020年のドル/円相場を振り返ると、新型コロナウイルスの影響が色濃くだてことがわかる。特に中国での感染拡大が深刻化し、世界的な同時株安が進んだ3月には、基軸通貨としてドルが買われ、ドル指数は3月20日に終値ベースで102.817まで上昇する場面があった。
中国では2月からいち早く都市封鎖を実施。欧州や米国でも都市封鎖を行った結果、2020年4-6月期GDPは史上最悪のマイナスを記録した。米国では前期比年率換算で-31.4%。ユーロ圏では前期比₋11.7%(ざっくりとした年率換算:-46.8%)。日本は、-29.2%と散々な状況であった。
そこで、この落ち込みを急回復させるべく世界的に過去最大の財政政策がそれぞれ打ち出され、7-9月期GDPは、米国で+33.1%、欧州で前期比+12.5%(ざっくりとした年率換算:+50.0%)。日本は、+22.9%とこちらも過去最大の回復となる動きとなった。
このように7-9月期に世界各国の景気回復が急上昇する過程で、基軸通貨としてのドルは売られる流れとなり、終値ベースで5月18日以降は、100を割り込む流れに転換。昨年末の12月31日には終値で89.937までドルが売られている。現状では、新型コロナウイルスの感染拡大が昨年の3月よりも深刻になっているものの、先行き見通しではドル指数は上昇せずに、もう一段の低下が見込まれている。
理由は、新型コロナウイルスのワクチンの開発に成功し、2021年後半からの新型コロナウイルス感染拡大は収束に向かい始めるとの見方が増えているからで、現状のような営業時間の短縮や外出規制を行わなくても、ワクチンによる免疫効果が浸透することで、世界経済が再び正常化に向かうとの見通しが主流になっているからである。ただし、そうした感染拡大の収束後の景気回復は、中国と米国に依存することになる。特に、GDPが世界一である、米国の景気回復がけん引役となって、欧州や日本の景気回復が軌道に乗る見通しである。
新型コロナウイルスの感染収束は2023年末あたりまでかかる可能性があるものの、昨年12月16日に開かれたFOMCの先行き見通しでは、2023年末には失業率が、コロナ前の水準を下回る3.7%まで低下する見通しになっていることから、景気回復に伴った米国の利上げが、遅くても2024年からは開始される見通しとなっている。当然、米国の利上げは、ドルが買われる要因になることから、景気回復に伴う利上げが期待されるようになれば、実際の利上げ時期より数カ月前からドル指数が上昇する可能性がある。
特に、今年1月5日に行われる米ジョージア州での上院議員の決選投票で、2名とも民主党が獲得すれば、下院だけでなく、上院も民主党が過半数を獲得するので、バイデン政権の政策は民主党の公約に沿って、勧めやすくなる。民主党は昨年末に成立した追加経済対策のうち、個人給付金については、2000ドルを主張し、さらに全米の州や市への補助金に前向きなことから、さらに巨額の追加経済対策を行う可能性がある。その場合は、12月16日のFOMCメンバーの先行き見通しよりも、前倒しで、米国経済の早期回復、利上げ時期の前倒しになることから、ドルが再び上昇し始める可能性がある。足元ではもう一段のドル指数の低下、ドル/円相場でのドル売り・円買いが見込まれるものの、意外と早く底打ちになる可能性がある。1月5日の上院選挙の結果は要注目である。
 

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