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ストラテジー(世界情勢と投資戦略)

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危機対応で差がついてきた米英と日欧の国力差   2021/04/27(火)08:48:43  
   新型コロナウイルスの感染拡大から、克服していく過程で、ここにきて米英と日欧の先進国間での差が鮮明になりつつある。米国と英国がいち早く感染拡大を乗り越えようとしているの対し、日欧はまだ感染被害が拡大中であり、まだ感染拡大をコントロールできていない。
 米国も英国も感染被害が甚大で、感染が広がる過程では、有効な対策を打てていなかった点は共通するものの、感染からの脱却局面では、世界に先駆けた独時の取り組みが成功し、その成果が明らかになりつつある。
米国は、感染者、死者とも現時点では世界最大になっているものの、ワクチン開発にあたって、いち早く当時のトランプ大統領が「ワープスピード作戦」と名付けて、新薬開発から承認までの期間を1年以内に短縮させる下地を作り、100億ドル(約1兆800億円)という大きな予算を用意して、創薬企業の資金面での支援を整え、さらに創薬企業には最先端技術を開発している企業(モデルナ社、ビオンテック社など)に光を当てて開発に取り組んだことが、早期のワクチン開発につながり、大きな成功につながっている。その際に、開発されたワクチンの早期使用する契約を取り付けたことは、感染からの脱却面で米国民にいち早い恩恵になり、早期の克服につながりつつある。また、経済的な混乱を回避するために、かつてない規模での個人給付の実施や手厚い失業給付の点でも、大きな社会的な混乱を回避することに成功している。
 また、ワクチン接種にあたっては、優先順序をつけながらも、予約に来なかった人で、余るワクチンについては、病院側の判断で、窓口に並ぶ本来ならワクチン接種の順番ではないものの、家族に高齢者や子供たちを抱えて、ワクチン接種を早く希望する国民にも接種を認めるという柔軟な対応もうまくいっている。24日時点のワクチン接種率は、全国民の41%になっている。
 英国でも、感染被害自体は、世界第5位で甚大ながらも、ワクチンの確保という点では、ユーロ圏からの離脱を交渉しつつ、独自で動き、適正価格よりも早期数量確保を優先した。さらに、新型コロナウイルスのワクチン接種を進めるために、看護師資格がなくても一定の学歴と犯罪歴のない約3万人のボランティアを募集し、約10時間のオンライン研修と模擬注射研修を受けた後に合格させて、国民の自宅から半径16匏内に注射できる接種会場を設定することで、ワクチンの接種率を早める効果が上がっている要因となっている。ワクチン接種率が英国民の約65%を超えてきたことで、感染がひどかった首都ロンドンでは、12日からパブやレストランの屋外営業が再開され、マスクなしで通行する人の方が多くなるくらいワクチン接種の感染防止策が効果を上げている。こういった高度な政治判断が今評価され、英国の中では、ジョンソン政権の支持率は3月時点で50%以上となっている。
 欧州のドイツでは、ファイザー社と共同開発企業のビオンテック社が国内企業ながら、ワクチンの調達にあたっては、ドイツ単独で動くと欧州圏内のまとまりを崩すリスクを回避するために、交渉担当をEUに一本化した結果、現状も感染拡大がひどくなっている状態で、ドイツ国民からメルケル政権に対する不満が高まっている状況である。
 そのEUでは、ワクチンの確保にあたっては、適正価格を優先し、初期の発注量を抑えたことで、製薬企業が全体の受注量を基に、生産工場を計画したために、今年に入って各国からの注文が急増し、生産工場を慌てて増やすことで供給が遅れがちになる要因につながっており、欧州域内の国民からは、対応や判断のまずさを指摘されている。
 日本では、4月22日現在で、ワクチン接種率は全国民の2%であり、医療従事者でもまだ接種が完了しておらず、高齢者への接種が始まったばかりで、高齢者については、まだ2回目の接種を受けた人がいない状況。菅総理は16日の日米首脳会談で訪米中に、ファイザー社とのトップ交渉で、9月中に日本の全国民分のワクチンの供給を確保したとされるが、山間地などが多い日本では、厚生労働省は既存の医療機関約35900等と集団接種会場約1480ヵ所、特設会場が約4000会場を用意する計画だが、英国同様に注射を打てる人材不足から、医師と看護婦のみで対応するとすれば、実務的な制約から、来年春先までワクチン接種が完了しないとの試算もあるほどである。こういったパンデミックな危機の際には、英国のワクチンボランティアなどのような柔軟な対応も必要であると思われる。これらの実行にあたっては、政治リスクが伴うものの、米国も英国もそれは同じである中で、こうしてリーダーシップを発揮している点では、国民からの信頼度に差がついている感じがする。
IMF(国際通貨基金)は、4月5日に最新の「世界経済見通し」を公表。米国は2021年中にコロナ前よりも景気が拡大する見通し、英国、欧州、日本はコロナショック前の水準に戻るのは、2022年と予想しているものの、2022年の成長見通しによると、英国は5.1%、欧州は3.8%に対し、日本は2.5%ととりわけ日本が低いのが特徴である。中長期的に日本の国力の低下が見込まれつつあり、いずれかの時点で、為替相場では悪い円安に進む可能性がある。日本にはコロナショックからの脱却を切っ掛けにした、新たな成長戦略が求められている。
 


日米首脳会談で見えてきた日米の対中戦略と米バイデン政権のドル高戦略   2021/04/20(火)08:21:08  
   4月16日に米国で開かれた日米首脳会談は、バイデン新大統領が1月に就任して、初めて直接、対面で対話する海外の総理という点でも、バイデン政権が日本へ求める期待の強さを感じる会談となった。
 今回の最大のポイントは、対中国に対し、日米で武力衝突に備えた準備をしていくことを確認した点。特に、米国は今回の共同声明文の中で、「米国は、核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対するゆるぎない支持をあらためて表明した。米国はまた、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適応されることを再確認した。日米両国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する。日米両国は、困難を増す安全保障環境に即して、抑止力及び対処力を強化すること、サイバー及び宇宙を含むすべての領域を横断する防衛協力を進化させること、そして、拡大抑止を強化することにコミットメントした」と明記している。想定相手国は明らかに中国である。
人的なつながりが日米友情の基盤となっているとしたうえで、今後の日米協力を深化させる分野として、生命科学及びバイオテクノロジー、人工知能(AI)、量子科学、民生宇宙分野の研究及び技術開発をはじめ、第 5 世代無線ネットワーク(5G)の安全性及び開放性、気候変動対策などを重点的に共同で強化していくことに合意した。
 上記の合意を達成していくためには、日本の民間企業の協力なしでは、達成不可能であり、軍事力では三菱重工業や、川崎重工業など、5G関連は、日立、NEC、東芝など、AIではソニーグループや富士通などのビジネスチャンスが広がる可能性が高まっている。特にバイデン政権は、トランプ前政権とは違って、米国の貿易赤字問題には触れず、日本だけでなく欧州などの同盟国との連携強化を図る方針であるのが特徴である。従って、技術力と価格的に魅力的な製品の日本からの輸出増につながる可能性が高まっている。
米国からみれば、中期的に輸入品が増える場合に、ドル安よりもドル高である方が都合がいい。米国も巨額の財政赤字をさらに拡大させるのではなく、秩序だった財政のコントロールを目指すことが予想され、中期的にはドル高政策が予想される。
 足元の為替相場は、まだまだコロナ禍での景気正常化を見据えた動きが続いており、米10年債利回りの動向が主要な変動要因になっているが、政治的な対中戦略が動き出しモノの移動に具体的に表われるようになり、米10年債利回りが落ち着いてくると、ワクチン接種率の差による経済の全面正常化時期の見通しの差や、新たな国際秩序へ向けた要因が、為替相場の材料になりやすい。新型コロナウイルスの沈静化、日欧との同盟関係の深堀りなど米国のリーダーシップが意識されやすく、ドル/円相場とユーロ/ドル相場でのドル買いトレンドが続く可能性がある。
 


IMF(国際通貨基金)の最新世界経済見通しとワクチン接種率と今後の景気回復スピード比較   2021/04/13(火)10:34:09  
   4月6日にIMF(国際通貨基金)が最新の「世界経済見通し(World Economic Outlook)」を発表した。新型コロナウイルス感染がまだ拡大している中で、各国の立場の違いによる「広がる復興格差 回復を進める」をテーマに、世界経済の回復度合いを分析している。
 世界経済全体としては、米国がバイデン政権誕生後に、3月に成立させた約1.9兆ドル(約220兆円)の経済対策が、米国だけでなく世界GDP成長率の押し上げ要因になるとして、2021年を6.0%、2022年は4.4%成長見通しとしている。
 2021年は米国が先進国の中で、唯一コロナ前の経済規模を超える成長になるとし、米国自体は6.4%見通しとしている。中国は2020年にすでにコロナ感染前の経済規模を上回って成長しており、2021年のGDPは8.4%見通しとしており、中国の全人代が2021年の見通しとしている6.0%以上としている目標を大きく上回る成長を予測している。一方で、欧州や日本などは、コロナ前の経済規模に戻るのは、2022年と見通しており、コロナ感染が続く間は、経済の低迷が続き、ワクチン接種の進展度合いが大きく景気回復度合いを左右するとしている。ユーロ圏の2021年見通しは、4.4%、2022年は3.8%としている。日本については、2021年見通しは、3.3%、2022年は2.5%としている。
 こうした世界経済の回復は、2021年後半にワクチン接種効果による景気回復を前提にしており、特に強い悪影響を受けている観光業や農産業の一次産品を輸出している国々の景気回復はGDPの損失が大きくなると指摘している。特に充分な財政政策を打ち出せない国々にとっては、先進国による景気回復につれて、金利が上昇すると債務返済の困難さが高まる問題もあり、先進国は金利の上昇には、世界情勢を勘案して慎重にするように求めている。世界全体では、2020年に貧困層に分類される所得の水準の人口が9500万人も増加しており、長期的な経済の後遺症が残るのを避けるために、対応策をとるように提言している。ただし、経済の後遺症としては、各国政府の積極的な財政政策の効果から、2008年のリーマンショックよりも、少なくて済みそうだとしている。一方で、低所得国や新興国はワクチンの確保や経済対策が充分に整えることができずに、コロナ後の回復に深い傷となるリスクを指摘している。
 新型コロナウイルスのワクチン接種率を比較すると、米国では人口の35.3%にあたる1億1714万2879名が1回以上の接種を受けている。日本では、人口の1.2%にあたる159万2517名しか1回以上の接種を受けていない。ワクチン接種率はG7先進国の中では最も低い。欧州の新型コロナウイルスのワクチン接種は、ドイツ、フランス、イタリアで約17%以下とワクチン接種率が低く、遅れている。英国は、新型コロナウイルスのワクチン接種率が人口の約47%まで進んできており、7月末までには全成人についてワクチン接種を完了させるとしている。
足もとの為替相場は、米国の10年債利回りの動向が主要な変動要因になっているが、利回りが落ち着いてくると、こうしたワクチン接種率の差による経済の全面正常化時期の見通しの差が、為替相場の材料になりやすい。新型コロナウイルスの沈静化においても、米国の回復スピードの速さが意識されやすく、ドル/円相場とユーロ/ドル相場でのドル買いトレンドがしばらく続く可能性が高まっている。
 

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