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ストラテジー(世界情勢と投資戦略)

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英国で再拡大し始めたデルタ株感染と英国景気見通しとポンド相場   2021/06/29(火)08:42:20  
   6月24日に開かれたBOE(英イングランド銀行)金融政策委員会では、現状以上が決定された。
16日に発表された英国の5月CPI(消費者部下指数)は前年比+2.1%(4月:1.6%)の3ヵ月連続上昇となり、BOEの物価目標の2.0%を上回る上昇がみられるなかで、米国のような高いインフレ見通しが続くリスクが懸念され始めている。
 BOEの5月時点での先行き見通しでは、CPIは2021年第4四半期まで2.47%あたりまで上昇するものの、2022年第1四半期から第4四半期にかけて低下傾向になり、2022年第4四半期には2.02%程度と、BOEの物価目標である2.0%あたりに落ち着く見通しを想定している。前回の2月の物価見通しでは、2022年第3四半期にかけて、ゆっくりと2.0%をやや上回る見通しを想定していたのが、0.5%ほど上方修正させている。
 実際の5月CPIは前年比2.1%に上昇しており、5月時点の見通しよりもさらに上昇圧力が強まっている感がある。なお、5月CPIのうち内訳を見れば、輸送代が前年比+6.5%、家具や家庭用雑貨が同+2.8%、公衆衛生が同2.8%、交際費が同2.3%、衣服類が同+2.1%、家賃・水道光熱費・燃料代が同1.9%となっており、かなり広範囲にわたって2.0%以上、上昇しているのがわかる。突出して上昇している輸送費を除くと、一時的な上昇なのかどうかは判断が難しい状況である。米国と比べると、まだ物価目標あたりの2.1%の水準であるものの、先行きの景気回復に伴って、さらなる上昇するリスクがある。
 ベイリーBOE総裁は、新型コロナウイルスの感染拡大中に都市封鎖していた時期の経済のたるみがまだ大きく、拙速な金融引き締めは英国景気回復に悪影響がでる。CPIは年末に向けてこれまでの想定以上に3.0%程度まで上昇する可能性があるものの、物価上昇要因になっているエネルギーと商品価格の値上がりの影響は来年にはなくなるだろう。そうすれば、一時的な影響が薄まるにつれて、物価は中期的に2.0%前後に戻る見通しであるとしている。今回の現状維持の決定は、メンバーの9名のうち、8体1の賛成で決定されている。なお、先行きの英国景気見通しはGDPで2021年は7.25%もの大幅成長を見据えている。
米国と同様に物価上昇懸念→量的金融緩和縮小見通し及び政策金利見通しが強まれば、先行きの英国債の利回りの上昇見通しからポンド買い要因になるはずだが、少し様子が違っている。
 米国は、ワクチン接種が進む中で、感染者が減少傾向になっており、先行きの経済回復に力強さが出てきている。一方、足元の英国は、デルタ株の感染拡大が続いており、26日時点で、英国の18歳以上の新型コロナウイルスのワクチン接種が84.1%まで進んできているものの、デルタ株の感染拡大で、27日19時現在の英国の新型コロナウイルスの英国の状況は、1週間で9万6800人以上が感染し、1日あたりの感染者が1万3800人以上と感染ペースが再び拡大中。新規感染者のほとんどはデルタ株と感染者数累計は471万7811人と日本よりも感染拡大が目立ってきている。デルタ株は2回目の接種を打つと、感染防止効果が高いとされ、1回目のままでは感染リスクがあるのが特徴。このあたりの米国と英国との違いが、ドル相場とポンド相場の違いになりつつある。英国は7月中に、コロナ感染防止の制限措置を完全撤廃する見通しであるが、感染拡大が続くと、制限措置の再延長リスクがあり、ポンドが他通貨に対し、売られる要因になるので、注意が必要である。
 


米ドル相場と米インフレ見通しの転換点になった6月のFOMC   2021/06/22(火)08:17:18  
   6月15日・16日に開かれたFOMCは、現状維持が決定されたものの、米ドル相場と米インフレ見通しの転換点になる会合となった。
 声明文のポイントを要約すると「物価の評価はしばらくは2.0%をやや超える軌道に乗っているが、時間の経過とともに平均で2.0%になり、長期的なインフレ期待は2.0%に固定されることを想定している。雇用面では、パンデミックで最も悪影響を受けた業種が改善しつつあるが、FRBは最大雇用と物価の安定に向けて、大幅な進展がみられるまでは、月額で国債等を800億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を400億ドルずつ購入し続ける」とこれまでと大きな変更はないものだった。しかし、同時に発表された、3ヵ月毎のFRBメンバーによる先行き見通しの中央値では、3月時点よりもインフレ率の見通しを2021年:2.4%→3.4%、2022年:2.0%→2.1%に上方修正し、かつ、失業率見通しも2022年:3.9%→3.8%に改善修正し、2023年の政策金利見通しが0.1%→0.6%と2023年には2回の利上げ見通し(0.1%+0.25%×2)に変更になった。 
雇用面では、確かに業種によって、ばらつきがあり、接客業や観光業、航空業などはまだこれから回復する業種であるが、全体の失業率で見れば、2022年にはコロナ前の3.5%あたりに近付き、FRBのおおよその目安である4.0%を下回る見通しになっている。インフレ見通しも2022年には政策目標である安定した2.0%に達する見通しになっており、ここにきてFRBメンバーの先行き見通しが、これまで市場参加者が懸念していた、インフレ率の上昇に伴う、景気過熱リスクをFRBが認識し、テーパリングの開始時期と、政策金利引き上げの前倒し見通しが一気に認識される結果になっている。
 FOMC後の会見でパウエルFRB議長はインフレ見通しについて、「予想より大きく、予想を上回る値が続く可能性がある」として、これまでの「物価上昇は一時的」としてきた見方を軌道修正。テーパリングについても議論したとし、本格的な議論に入るかどうかを経済データを確認しつつ進めることを表明している。  
2022年に物価見通しが安定的に2.0%になるとFRBメンバーがみているならば、米10年債利回りの足元の水準である1.4%-1.6%の水準は明らかに、買われすぎの状況になるので、今後は米10年債利回りが少しずつ上昇傾向になるのか、急騰するかによって、ドル相場に大きな違いがあるが、こうした先行きの利回り上昇見通しが、ドル買い要因になってきており、ドル指数が一気に92台に上昇してきている。
 さらに18日に現状のFOMCでは議決権を持たない、ブラード・セントルイス連銀総裁が、今回のFOMCで示されたFRBメンバーの先行き見通しについて講演。テーパリングについては、パウエルFRB議長が本格的議論に入るのは今後の経済データを見ながらと説明したよりもより踏み込んで、すでに公式に議論を開始したと説明。当初、FRBでは、今年は良い1年、良い経済再開を見込んでいたものの、想定以上に景気が上昇し、かつ、物価上昇も想定以上だとコメント。今回のFOMCで示した、先行き見通しについて、2023年に平均値で、政策金利を2回引き上げる見通しに前倒しになっていることについて、物価面では前年の2022年末まで2年間にわたってコアPCE価格指数が2.5%から3.0%あたりの状況が続く可能性があると指摘。現状では、足元の物価上昇は来年には低下する可能性もあるが、2022年に入っても続くリスクもあると指摘したことで、パウエルFRB議長の発言よりもさらに前倒しでのテーパリング開始を示唆したと、市場参加者に受け止められ、ドルが他通貨に対しさらに全面高する流れになった。
 このように前回4月27日・28日のFOMCでは、FRBメンバーは足元の物価上昇は一時的で、2022年には低下するとの見通しが、一気に2022年にかけて、現状の高いインフレ率が続く可能性があると認識し直したことで、少なくともこれまで予想されていたよりも1年以上早く、テーパリングの開始と政策金利の引き上げ時期が早まっている。ブラード・セントルイス連銀総裁は、個人的には政策金利の引き上げは2022年後半が望ましいだろうとも述べており、場合によっては、2021年内にテーパリングを開始し、2022年に政策金利を段階的に引き上げて景気の過熱感を取り除く金融引き締め策が行われることが現実味を帯びてきた。少なくとも2023年までは政策金利が0%に据え置かれることを想定してきた米株式相場はまだこの先行き見通しの大転換を織り込んでおらず、米債券市場もこれから織り込み始めることになる。
 ちなみに、次回FOMCは、7月27日・28日に開かれる。8月はFOMCはなく、世界の中央銀行総裁を招待して対面形式で開かれるジャクソンホール会議は、8月26日から28日に行われる。9月のFOMCは、21日・22日であり、このいずれかの会合で、テーパリング開始時期についてのコメントが出る可能性が高い。
米国の物価動向と雇用動向とFRBメンバーの講演は引き続き、ドル相場、米株式相場および日本の株式相場、米債券相場及び世界の債券相場の最重要注目指標になる。
 


欧州の景気回復見通しとECB政策対応とユーロ相場見通しと株式投資戦略   2021/06/15(火)07:25:51  
   6月10日に開かれたECB金融政策理事会では、現状維持が決定。
理事会後の会見でラガルドECB総裁は「欧州の景気は第2四半期に力強さがみられ、第3四半期に増幅されるだろう。3ヵ月前に比べると先行きの見通しはやや楽観的になっている。ただし、米国とユーロ圏の経済情勢は大きく違う。各々の回復局面では異なる地点にいる。そのことで、ユーロ圏内でもインフレ率に差が出てきている。例えば、ドイツのインフレ率はユーロ圏全体のものよりも高めになるだろう。しかし、サービス価格の大きな上昇は見られていない。理由は、賃金が大幅に上昇していないからだとみている。さらなる上昇を期待している。2021年を通しての物価上昇は1.9%と前回予想よりも高くなっているが、ECBの目標(概ね2.0%)以下にとどまる見通し。PEPP(パンデミック緊急購入プログラム)に基づく国債買い入れペースについては異なる意見があった。ただし、購入額の規模は、ここで縮小すると企業の借り入れコストの上昇につながるリスクがあり、景気回復の足を引っ張るリスクがあると判断し、4-6月と同じく増額ぺース(週間で約190億ユーロ)を維持する。出口戦略については、いずれ議論されることになるが、現時点では議論の開始自体、時期尚早である。主要な論点ではおおむね全会一致の合意である」という主旨でコメント。この決定を受けて、ドイツ国債などユーロ圏の国債が買われ、欧州の国債利回りが低下。ユーロ/ドル相場、ユーロ/円相場ではユーロが売られる流れになっている。
 ECBは先行きのユーロ圏経済の見通しを、2021年:4.6%(前回見通し:4.0%)、2022年:4.7%(前回見通し:4.1%)に上方修正しており、2年連続で4%台の高い成長を見込んでいる。物価見通しについては、2021年:1.9%(前回見通し:1.5%)、2022年:1.5%(前回見通し:1.2%)とやや上方修正しているものの、ECBの目標である%程度にはまだ届かないという見通しになっている。
 ラガルドECB総裁がコメントしているように、米国と欧州では景気回復度合いが違う。米国は雇用面でかなり回復度合いが早まっているが、欧州ではようやく経済の再開が始まりつつある段階で、雇用の回復はまだ加速していない。さらに、米国のような大規模な景気対策ではないことから、ユーロ圏のインフレ率見通しは、ECB見通しに沿った動きで推移する可能性がある。
米国が物価上昇が加速し、米10年債利回りの上昇につながれば、ドルが上昇しやすい地合いになる。次に、ユーロ圏の景気回復に伴って、ユーロが買われやすい地合いが続く見通しである。一方、日本はまずはワクチン接種率を早急に進め、東京オリンピック・パラリンピックの成功につなげつつ、景気回復のスピードが速まる見通しであり、足元ではフェンダメンタルズ面で日本、円の弱さが目立つ。
 ドル ≧ ユーロ ≧ 円 という関係で、ドル/円相場では、ドル買い傾向が続き、ユーロ/円相場では、ユーロ買い傾向が続く可能性があると分析している。株式相場は、物価上昇が見込まれつつ、実質金利(米10年債利回り-米10年BEI利回り)が▲0.8%程度で安定している間は、上昇が続く可能性が高いものの、実質金利が0%以上プラス圏になってくると、急落リスクが高まる。引き続き、米10年債利回りの動向、物価動向、FRBの政策スタンスが変化する可能性のある8月あたりまでは、目が離せない状況である。こうした下落リスクの高い相場環境では、仮に一時的に相場が下落しても、比較的短期間で株価が戻りやすい、好業績で、配当金を増額傾向であり、配当利回りが4%程度ある好業績銘柄へのシフトが1つのお勧め対策である。
 

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