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ストラテジー(世界情勢と投資戦略)

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年内テーパリング開始を示唆したものの市場との対話に成功したパウエルFRB議長の講演   2021/08/31(火)05:35:51  
   注目された8月27日のジャクソンホール会議でパウエルFRB議長の講演では、「7月のFOMCでは、米国経済がおよそ予想通りに進展した場合には年内に資産購入ペースの減速を開始するのが適切となるというのが私の見解であり、大半の参加者も同様の認識である。ただし、債券購入プログラムの縮小開始が、その後の近いうちに利上げが始まるというシグナルとして捉えられるべきではない。利上げ開始については、われわれは異なった、かつ、一層厳しい基準を明確にしている。米国経済が最大限の雇用を達成し、インフレ率が一定期間2%を適度に超える軌道に乗るまで、政策金利のFFレートの誘導目標のレンジを今後も現行水準で維持すると、これまで繰り返し表明している。」とコメントし、テーパリング開始は年内から行うものの、利上げ時期とタイミングはより厳しく判断するとして、テーパリング開始と、利上げ開始時期とは切り離して判断し、あくまでも安定的な物価目標の2%をやや超える水準の達成と、完全雇用達成後に行うと表明。
 このことから、テーパリング開始は年内ながら、利上げ時期はデルタ株の感染収束に向かい、最大雇用が継続するまで、低金利政策を続けるとの見通しを示しているのが特徴。
これまでは、年内のテーパリング開始ならば、利上げ開始は2022年度内に早まる可能性があるとして、早期利上げ懸念が広がりつつあったのだが、このテーパリング開始と利上げ開始の切り離しを明確に示したことで、利上げは物価動向次第で、6月のFOMCでの先行き見通しで示された、2023年に2回の引き上げ見通しに、利上げ時期が後連れする見方が強まった。
 この発言を受けて、米10年債は買われ、利回りが1.30%まで低下する一方で、リスク資産である株式相場は買われる展開になり、ドルが売られる場面があった。
仮に、テーパリング開始と利上げ時期の切り離し発言がなければ、米10年債利回りの急上昇と米国株式相場の急落リスクもあったので、今回の切り離し発言は、良い意味でのサプライズコメントで、パウエルFRB議長が市場との対話に成功したといえる。
 米10年債利回りは、足元では利上げ局面に向けた動きではなく、デルタ株感染による世界的な景気減速リスクを意識した実需の国債買いが続いている。米国景気の好調さから、米国の税収が想定以上に増加しており、国債の発行量がFRBの毎月の買い入れ額を下回るケースがみられる。ただし、テーパリングを開始すれば、毎月800億ドル(約8兆7200億円)の米国債の大口購入先がテーパリング終了後はなくなる(現在、FRBが保有している米国債の満期が到来した分については、同額を当面再投資し続ける)ので、時間差があるにせよ、米10年債り利回りは物価目標の2.0%あたりを目指して上昇する可能性が高い。足元の米10年債利回りは、1.3%台であるが、緩やかなペースで1.8%〜2.0%あたりへ向けて上昇するとすれば、米国景気拡大に伴って、米国株式相場も上昇基調も保ちつつ、米ドルの買い要因になる。
 


7月のFOMC議事要旨公表で迫るFRBのテーパリング開始見通しと米債券相場   2021/08/24(火)06:20:50  
   8月18日に公表された7月のFOMC議事要旨では、FRBメンバーが株式や債券の投資家が想像していた以上に、テーパリング開始時期についての年内開始の可能性を視野にして、深く議論していたことが分かった。
7月のFOMC議事要旨によると、「ほとんどの参加者は、米国経済が予想通りに大きく発展するなら、年内に債券購入ペースを縮小し始めるのが適切であると判断した。雇用面では、テーパリングに着手する際の雇用面での条件が現時点では達成されていないものの、年内に達成される可能性がある。ほとんどの参加者は、国債とMBS(住宅ローン担保債権)の純購入ペースを相対的に縮小し、それぞれの購入を同時に終了させることにメリットがあると考えている。なお、デルタ株の感染拡大に伴う感染者数の増加が職場や学校への復帰の遅れを引き起こし、米国経済の回復を阻害するリスクがある」として、年内テーパリング開始を示唆した内容であった。開始時期やテーパリングの期間については、まだ議論が尽くされていない要旨であるが、開始時期については、まとまりつつある感が強い。
 従って、8月27日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演や、9月21日・22日のFOMCなどでのテーパリング開始時期の表明見通しが高まっている。
なお、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演テーマは「(米国)経済見通し」であるので、7月のFOMC議事要旨に示されたような、テーパリング開始時期の判断を示すか注目。年内開始を示せば、ドル買い要因になる。
 一方、テーパリング開始時期がいよいよ迫るなかで、米10年債利回りは、利上げ局面に向けた動きではなく、足元のデルタ株感染による世界的な景気減速リスクを意識した実需の国債買いが続いている。米国景気の好調さから、税収が想定以上に増加しており、国債の発行量がFRBの毎月の買い入れ額を下回るケースがみられる。しかし、テーパリングを開始すれば、毎月800億ドル(約8兆7200億円)の米国債の大口購入先がいずれなくなるので、時間差があるにせよ、米10年債り利回りはFRBの物価目標の2.0%あたりを目指して上昇する可能性が高い。足元の米10年債利回りは、1.2%台であるが、1.8%〜2.0%あたりへ向けて上昇するとすれば、米ドルの買い要因になる一方で、好調な米国株式相場の売り要因になる。
 なお、急激な米10年債利回りの上昇は、実質金利(名目金利-期待インフレ率。20日現在:-1.01%)を上昇させ、米国株式相場を始め、世界の株式相場の下落要因になるので注意が必要である。
 FRBの金融政策の変更点が近づきつつあるので、要注目である。
 


具体的な開始時期を示し始めたFRBのテーパリング開始見通しと米ドル相場   2021/08/10(火)14:10:53  
   先週は、FRBメンバによる、具体的なテーパリング開始時期のコメントが目立つ一週間となった。
8月4日にクラリダFRB副議長が講演し、「デルタ株の急速な感染拡大は、米経済の下方向のリスクになるものの、米景気は力強い成長を続けている。FRBの予想通りに推移した場合は、年内にテーパリング開始ついて発表することを支持したい。」とコメント。
 同日、カプラン・ダラス連銀総裁も講演し、「現状の大規模な債券購入策は、過剰なリスクテークにつながっている。FRBはすぐにでもテーパリングの開始をすべきだ。ただし、テーパリングにあたっては、より緩やかなペースが好ましい。(現状では、米国債を毎月800億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を毎月200億ドル購入しているが)米国債を毎月100億ドル、MBSを毎月50億ドルずつ減らし、8ヵ月で債券購入策を終了すべきだと考えている。」とコメントしている。
 これまではFRBメンバーによる講演は物価見通しが一時的かどうかが重点的であり、インフレ見通しが上振れすれば、政策変更の準備があるという内容にとどまっていた。
しかし、先週からFRBメンバーが具体的な政策変更の時期を示し始めたことで、テーパリング開始がいよいよ迫ってきているとの見通しが広がってきている。
 この動きを受けて、低下し続けてきた米10年債利回りが、上昇を始めている。4日には1.127%まで低下する場面があったが、こうしたFRBメンバーの発言と、6日の7月の非農業部門雇用者数の力強い増加を受けて、7日には1.305%まで上昇する場面があった。
 8月はFOMCが開かれないことから、8月26日から28日のジャクソンホール会合や、9月21日・22日のFOMCなどでのテーパリング開始時期の表明見通しが高まっている。
 米10年債利回りは現在の1.2%台から、FRBが政策目標としている水準の1.8%-2.0%あたりへの上昇へ向けた動きがあっても不思議ではない。足元の物価水準が続くとさらなる上昇の可能性もある。
 一方、足元の米国での急速なデルタ株感染の拡大が、米10年債利回りを押し下げている要因であるが、FRBの政策変更が迫ってきており、ドル買い要因になる可能性がある。
なお、急激な米10年債利回りの上昇は、実質金利(名目金利-期待インフレ率。6日現在:-1.069%)を上昇させ、米国株式相場を始め、世界の株式相場の下落要因になるので注意が必要である。
 一部の債券投資家からは、米国景気のピークアウトに伴う米国景気の減速見通しが出ているが、現状では、米中摩擦の高まりを受けて、世界的に半導体設備の増強や、ソフト開発が活発化する流れになっており、米国を先頭に世界景気の拡大が続く可能性が高いと分析している。
 

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