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ストラテジー(世界情勢と投資戦略)

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2022年の米国経済展望と国債利回り格差による為替相場見通し   2021/12/28(火)05:53:30  
   2022年の世界景気の特徴は、新型コロナウイルスのデルタ株やオミクロン株の感染拡大が続く中、米国をはじめ、英国などが景気下支えとして行っている量的金融緩和策を縮小し、インフレ率の過熱感を抑えるための金融引き締め策へと具体的なかじ取りを始めるという転換点になることである。
 米国では、中央銀行であるFRBの物価目標である2.0%を大きく上回って、物価高が続く見通しで、最近の世論調査では、米国民は物価高への警戒を示しており、物価高基調がバイデン政権への最大の不満になってきている。実際、23日に発表された米11月のPCE価格指数は前年比+5.7%と3ヵ月連続で上昇。価格変動の大きい、食品・エネルギー除くコアPCE価格指数でも前年比+4.7%と3ヵ月連続で上昇している。引き続き物価上昇基調が続いており、この物価高による先行きの米国金利上昇、米10年債利回りの上昇見通しが、米ドルが買われる要因になっている。
 12月16日未明のFOMCでは、11月に決定されたばかりのテーパリング(量的金融緩和策の縮小)ペースを2倍に早め、従来の2022年6月の終了予定から、前倒しで3月には終了させることを決定。さらに、同時に公表されたFRBメンバーの先行き見通しの中央値では、利上げ時期を、2022年に3回、2023年にも3回行い、2024年には2回行い、合計8回の利上げスケジュールによって、金融の正常化への道筋を示したことが最も注目すべき点である。  
ちなみに、9月時点での見通しでは、2022年に1回、2023年に3回行い、2024年には3回行う見通しであったので、今回は利上げ時期の前倒しと利上げ幅の拡大が示されている。従って、FRBメンバーの12月時点の予測では、まず労働市場が2022年中に完全雇用を達成する見通しで、インフレ率については2023年まで2.0%を超える水準で高インフレが続く見通しになっている。これらを最終的には2024年で調整して、金融緩和の終了を目指していることがわかった。従って、米国では、少なくともオミクロン株等の新型ウイルスによる経済の足かせは、概ね克服できるという見通しであることに注目である。
 その見通しを裏付けるかのように、22日に米FDC(食品医薬品局)が、ファイザー社が開発したオミクロン株を含め新型コロナウイルスの重症化リスクを約90%防止できる初の飲み薬タイプとなる「パクスロビド」の緊急使用許可を承認。このことで、ワクチン注射を拒否している人でも、飲み薬なら服用する可能性が高まることから、オミクロン株の感染拡大による米国景気悪化懸念が和らぎ、安全資産としての米10年債が売られ、利回りが上昇。さらに、23日にデルタ株とオミクロン株の感染拡大が深刻になっている英国の保健安全保障庁が、オミクロン株の感染力はデルタ株よりも強力ではあるが、入院リスクは50%-70%程度低いとコメントしたことで、世界的にオミクロン株へ感染拡大中であるものの、重症化リスク懸念が和らぐ流れになっている。このことで、安全資産としての米10年債は売られる流れになり、週末23日には、1.501%まで利回りが上昇する場面があった。この流れに沿って、ドルが買われ、ドル/円相場では24日には114.5円までドル買いが進む場面があった。
 2022年もコロナの感染拡大動向に大きな影響を受けるものの、ワクチン接種に加え、飲み薬による重症化リスクのさらなる低下見通しが、米国をはじめ世界景気の回復の下支えしてくれそうである。従って、インフレ率の動向で先行き物価高の国の国債利回りの上昇が、為替相場の強みになるとみている。従って、米ドル、ポンドに注目である。
 


大幅な政策方針の転換と、金融正常化の道筋を示した12月の米FOMC   2021/12/21(火)05:31:29  
   注目された日本時間12月16日未明のFOMCでは政策金利は現状維持が決定されたものの、11月に決定されたばかりのテーパリング(量的金融緩和策の縮小)ペースを2倍に早め、月額150億ドル減から、月額300億ドル減にして、2022年3月には終了させることを決定。さらに、同時に公表されたFRBメンバーの先行き見通しの中央値では、利上げ時期を、2022年に3回、2023年にも3回行い、2024年には2回行い、合計8回の利上げスケジュールによって、金融の正常化が完了する道筋を示したことが最も注目すべき点である。  
 ちなみに、9月時点での見通しでは、2022年に1回、2023年に3回行い、2024年には3回行う見通しであったので、今回は利上げ時期の前倒しと利上げ幅の拡大が示されている。従って、FRBメンバーの12月時点の予測では、まず労働市場が2022年中に完全雇用を達成する見通しで、インフレ率については2023年まで2.0%を超える水準で高インフレが続く見通しになっている。これらを最終的には2024年で調整して、金融緩和の終了を目指していることがわかった。従って、米国では、少なくともオミクロン株等の新型ウイルスによる経済の足かせは、概ね克服できるという見通しであることに注目。
 FOMC後のパウエルFRB議長会見では、「ウイルスの影響や供給制約にもかかわらず、FOMCメンバーは中期の経済政策見通しでは、急速な成長が続く見通しを持っている。労働市場の改善と、非常に強い労働需要があり、経済は最大雇用に向けて急速に進展している。労働市場の改善により、賃金分布の下限に位置する労働者や、アフリカ系、ヒスパニック系米国人などとの雇用格差が縮小している。雇用主は求人数を確保すことに苦労しており、賃金はここ数年で最も速いペースで上昇。足元のコロナ感染が広がり、人手不足がどの程度続くかは不透明な状況である。FOMCメンバーは労働市場が今後も改善し続け、失業率が2022年末までに3.5%に下がるとみている。9月時点と比べ、今年と来年の失業率予測は大きく改善している。全体の物価上昇率は長期目標の2.0%を大きく上回っており、2022年も続くだろう。インフレ上昇の切っ掛けはパンデミックによる混乱であるが、足元のインフレ動向は財やサービスにまで幅広くなっている。賃金も上昇しているものの、賃金だけみれば、物価上昇の大きな要因にはまだなっていない。FOMCメンバーは当面、労働市場が最大雇用と評価できる水準まで、政策金利の水準を維持することが適切だと考えている。メンバー全員が、残りの条件は2022年に達成されると予測している。(従って、2022年に政策金利の引き上げを行う見通しだ。) メンバーは政策金利の水準が長期的な目標水準に近づくと推定される2024年末までに渡っての緩やかな金融政策の引き締めを想定している。」という主旨でコメント。これまでのようなコロナ禍で、労働市場に参加できない失業者への配慮等による景気の下支えのための低金利政策の持続から、労働市場の強力な回復見通しとインフレ上昇への早期対応のための金融引き締めへと金融政策のかじ取りを大きく変化させる判断になってきている。
 FOMCの政策決定と、FRBメンバーの先行き見通し、パウエルFRB議長の会見後は、ドル/円相場ではドルが買われ、16日には114.2円までドル買いが進む場面があった。米国株式相場は、金利引き上げ前倒しにもかかわらず、FRBの前向きな景気見通しを好感したかのように政策発表後も上昇した。
 一方、米10年債相場は、FOMC後は売られ、1.484%まで利回りが上昇する場面があったが、デルタ株とオミクロン株の感染拡大が英国と欧州で深刻化しており、米国でも感染警戒があるなかで、FRBによる利上げスケジュールが示されたにもかかわらず、安全資産買いの流れが続き、先週は週間では、利回りが低下している。債券市場では、デルタ株とオミクロン株の感染拡大が続いているリスクを重視して推移している動きが続いており、米債券市場の見通しが正しいのか、FRBの見通し通りに米国景気が向かうのかどうかは、正直なところ、不透明な要因が多い。
 従って、当面は、感染動向や重症化リスクも含め、データによる裏付けで実体経済の動きを丁寧に確認しつつ、先行きへの慎重な判断が必要である。日米の株式相場においては、足元では利益の出ているものは利確し、一時的な急落が起きた時に、有望銘柄を購入できるように、キャッシュポジションを厚めにしておくことが、おすすめである。
 


オミクロン株の感染見極めと米英欧の政策判断   2021/12/14(火)05:22:36  
   米英欧の各国・地域の足元では、新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株とオミクロン株の感染拡大が広がり、先行きへの景気減速懸念がある。特に欧州ではドイツやフランスで過去最高水準の感染拡大ペースで推移しており、ワクチン接種率は集団免疫ができるとされる約7割に達しているものの、未接種者を中心に感染拡大が止まらない状況である。欧州委員会では、遂にワクチン接種の義務化を検討するほどであり、都市封鎖を実施しているオーストリアをはじめ、ドイツも来年に向けてワクチン接種の義務化を進めている。
 3日に、ECDC(欧州疾病予防センター)が欧州16ヵ国でオミクロン株の感染が広がっているものの、死亡者はまだいないと、毒性の弱さを指摘。5日には米国のファウチ首席医療顧問が「オミクロン株については臨床試験を繰り返しており、断定的な判断を示すのは時期尚早だが、重症度はそれほど高くないように見受けられる」とコメントしたこともあり、新型コロナ感染が世界的に広がった初期のような、都市封鎖などの厳しい感染防止策を今後は継続しなくても良い可能性があることで、為替市場、債券市場、株式市場は警戒感が後退していることが、先週は安全資産である米国債の売り要因になっている。
 今週は、日本を含む米英欧の各中央銀行の政策決定会合が開かれるので、注目度が高い。米英欧では、それぞれの物価動向が一時的にしても物価目標である2.0%を超えてきており、コロナからの脱却で雇用回復を優先して低金利策をこのまま続けるべきなのか、やはり急激なインフレ動向を招いている過熱感を冷やすための利上げを行うのか、その判断が今回の各会合で注目されている。
 16日の午前4時に発表される米FOMCでは、物価上昇圧力を弱めるために、11月のFOMCで決定したばかりのテーパリングのペースを加速させて早期終了させ、利上げ時期の前倒しが決定される見通し。注目は利上げペースも加速するのかの関心が高まっているので、同時に発表されるFRBメンバーの先行き見通しのうち、政策金利であるFFレートの中央値が2022年と2023年にどの程度まで引き上げることが妥当と見ているのかに関心が集まっている。ちなみに、9月時点でのFFレートの見通しの中央値は、2022年が0.3%(1回につき、+0.25%)で、1回の利上げ見通し、2023年が1.0%で、およそ3回の利上げ見通しとなっている。
 その際、足元のオミクロン株の重症化リスクが低く、景気の加熱が進み、インフレ率がさらに加速すると予想していれば、利上げペースも早まることになる。一方、感染拡大がインフレ率の上昇を控えめにすると予測し、利上げペースはあまり変化がなければ、市場は落ち着く可能性がある。そのシナリオだと、ドルが売られやすい流れになる。
 英国と欧州は足元での感染拡大がひどく、移動制限を行なっていることから、今回の会合での利上げは行わない可能性が高い。
 日米の株式相場は、利上げペースが加速すると、乱高下しやすい、荒っぽい展開がつづくことが予想される。
 

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