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ストラテジー(世界情勢と投資戦略)

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日米首脳会談で見えてきたウクライナ戦争後の世界秩序   2022/05/31(火)07:58:37  
  5月23日に、バイデン大統領と岸田総理の日米首脳会談が開かれた。今回のバイデン大統領の来日目的は、21世紀に入っても、第2次世界大戦の延長戦を仕掛け、小国から領土や資源を奪い取ろうとするロシアや中国への対抗体制の強化と新しい貿易ネットワークの模索が主要議題であった。
特に印象的だったのが、バイデン大統領から、日本が国連の常任理事国になることを支持すると発言したことである。国連の常任理事国は、米国、ロシア、中国、イギリス、フランスの5カ国。自国に不利な案件については、拒否権を発動でき、その問題を可決させないようにできる強い権限を持つのが特徴。また、実質的に核兵器を保有することが、公式的に認められているのも特徴である。
今回のウクライナ戦争では、当初は早期停戦に向けた外交努力が見られたものの、現状では、ウクライナがロシアに勝てるように最新兵器の提供に変わってきており、資金援助の他、ロシアが二度と外国に対し戦争を仕掛けることができなくなるように、西側諸国の金融ネットワークや貿易圏から遮断し、資金面、物資面で兵器開発や武器購入ができなくなるように世界の多くの国々が協調体制をとっている。例え、ロシアが望むようにウクライナ戦争で新領土を手に入れるとしても、現状で、ロシアが保有している資産を食い潰してしまうと、経済力が大きく縮小してしまうので、およそ、世界の大国からは程遠い国になりかねない。従って、ロシアへの経済制裁は、ウクライナ戦争後も続く可能性が強く、少なくともプーチン政権が続く間は、続く可能性が高い。その一方で米国が進めようとしている日米欧英などが中心となって、アジア地域が加わるような、太平洋経済連携体制の強化である。バイデン大統領は、トランプ政権時に離脱したTPP(環太平洋貿易協定)ではなく、IPEF(インド太平洋経済連携)を掲げている。米国の思惑通りに進むのか、TPPに米国が復帰するのかは、不透明ながら、この地域を巻き込み、ロシアと中国は入らないような経済的なネットワークの強化と、防衛面での連携強化が前提となっている。米国は、日本には、こうした太平洋やインド洋に隣接している東アジアの地域の国々へのリーダーシップを期待しているようだ。
従って、今後はこういった地域で活用されるサービスの統一化やシステムなどの標準化などが進んでいく可能性が高い。欧米への市場参入では、日本企業は、米Apple社やGoogle社のようなプラットフォームづくりには、苦戦しているが、地理的にも近いこうした東アジアで、日本製のプラットフォームが浸透するのかが、期待したい。成功すれば、東アジア全体を含めた市場に販路が拡大することができる。
こうした新しい世界秩序作りをにらんで、日本国内で上場を目指す企業がたくさん出てくると、日本経済の復活につながることになる。日本にとっても、ウクライナ戦争に西側諸国が勝てるように、がんばりぬくことが求められているようである。
 


株式相場と債権相場で見方が分かれてきた米国景気見通し   2022/05/24(火)07:37:20  
  米国株式相場は、先週まで8週連続で売られる展開となっている。ダウ工業株30種平均株価は、1月5日には史上最高値の36952.65ドルを更新する場面があったが、米国の物価上昇の高止まりを背景に、FRBが金融政策を量的緩和策から、金利引き上げ策に転換することを表明。3月のFOMCで実際に利上げを開始し、米国株式相場は下落する展開になっている。2月24日から始まったロシアのウクライナ戦争勃発で、地政学的リスクが高まっていることも、世界景気、米国景気の先行きに不透明さを増す要因になっている。
5月に入ってからは、米国株式相場は、年初来安値を更新する回数が増えてきており、20日には30635.76ドルまで売られる場面があった。8週連続で下落する動きは、世界大恐慌が起きた1932年以来。90年ぶりである。これは明らかに、景気減速ではなく、景気後退リスクを意識した展開になっている。
一方、米国の債券相場は、20日時点で2年債が2.586%、10年債が2.788%で、概ね期間ごとの利回りが、満期までの期間が長いほど利回りが高い、純イールドのままであり、FRBの政策金利日引き上げを意識した、利回りの上昇局面になっている。2年債利回り、10年債利回りの金利差がプラスであるので、景気減速の可能性はあるものの、景気後退を見越した危機的な再建買いが起きている状況ではない。FRBが目指すような、景気減速から、景気拡大局面への誘導が成功する可能性がある。
株式市場と債券市場の投資家の間で、米国景気の先行き見通しが分かれてきているので、金融市場としては、どちらが主流になるのか、実際の景気指標を見極めつつ、当面は乱高下が続きやすい地合いが続く見通しである。
 


コントロール不可能なリスクがあること認めたパウエルFRB議長と米景気悪化を見越した米株下落   2022/05/17(火)07:46:45  
   5月12日に米上院で、パウエルFRB議長の再任が正式決定された。賛成が80名、反対が19名であり、圧倒的な信認を得ている。
 同日の公共ラジオでのインタビューで、パウエルFRB議長は、「(FOMCでの今後の利上げ幅について)米国景気が見通し通りに推移すれば、今後2回(6月と7月)のFOMCで0.5%の追加利上げが適切だとみている。0.75%の引き上げは積極的には検討していない。なお、状況がFRBメンバーの予想よりも良いならば、小さく行動することもある。反対に、予想以上に悪い場合は、強い行動に出る準備ができている。3月からの利上げ開始については、もう少し早めに利上げ開始をしていた方が良かったかもしれないと感じている。ただし、早く利上げ開始をしていたとしても、どの程度の違いが出ていたのかはわからない。FRBメンバーは、その時点で把握できる状況に基づいてリアルタイムに判断しなけらばならないので、最善を尽くしている。現状の利上げについては、労働市場の好調さを維持しつつ、物価を目標値である2.0%に鎮静化させることを目指しているが、実際には多くの困難が想定される。実際、米国景気の好調さを保ちつつ、うまくインフレ率を沈静化できるかどうかは、FRBがコントロール不可能な要因に左右されるリスクがある。ウクライナ戦争のような地政学的リスクや、サプライチェーンの混乱などがそうである。多少の景気への痛みを伴う可能性がある。」という主旨でコメントしている。
正式にFRB議長に再任されてホッとされたのか、利上げタイミングが遅れ気味になったこと認めているのが印象的である。さらに、利上げ局面での米国景気の過熱感を取り除いて、雇用の好調を維持しつつ、景気好調を維持するソフトランディングについては、正直なところ明確な自信がなく、ウクライナ情勢に伴う地政学的リスクによる経済の混乱や、中国のゼロコロナ政策に伴う、工場停止などによる部品供給不足など、FRBの監督外項目となる要因による米国景気悪化については、どうしようもないといった本音をコメントしている。
 米国株式相場は、足元では、中国の都市封鎖の影響で製品供給不足になってきたApple社が総額1兆円規模の売上減少になる可能性を示唆したことから、中国の動向による米国景気後退を織り込み始め、先週は12日に、ダウ工業株30種平均株価、S&P500種平均株価指数、NASDAQ指数いずれもが年初来安値を更新し、世界同時株安の流れの切っ掛けになっている。
 こうした状況下で、FRBが利上げを進めるとさらなる株価下落を招くリスクが高まる。株価下落は、個人消費を冷やす要因になりやすいことから、FRBの今後の利上げスタンスは難しい局面になってきている。しばらくは、株価の下落が落ち着くかどうかが最注目である。株価の下落が続く間は、米10年債は安全資産として買われやすく、利回りは低下する動きになりやすい。
 
 


インフレタイプが異なる日本と米英欧の物価上昇と金融政策の違い   2022/05/10(火)07:37:16  
   6月から、チキンラーメンやみそラーメンなどの即席めんやカップ麺がさらに値上げ予定となっており、創業以来、38年間守り続けてきたスシローさえも、100円寿司は維持できないと10月からの値上げを表明している。1リットル:170円台にも上昇している石油価格やエネルギー価格以外でも、このように食料品の価格上昇が目立っている。米英欧だけでなく、日本も物価上昇圧力が実感できるほど高まっているのが、実際のところである。
 しかし、同じ物価上昇でも、日本の物価上昇は、米英欧のパターンとは違うと分析しているのが、黒田日銀総裁である。4月28日の日銀金融政策決定会合後の会見で黒田日銀総裁は、日本の足元の物価上昇は、資源高や円安による(コストプッシュ型)の物価上昇であり、米国などの賃金上昇や期待インフレ率の上昇を伴う(ディマンドプル型)ではないことから、原油価格や資源高傾向は2022年度を通じて上昇し続けるとは想定していなくて、先行きは減衰していくと見込んでいる。(米英欧のような)企業収益や賃金・雇用が増加する好循環の中で、2.0%の「物価安定の目標」を日本でも安定的に実現するまでには、なお時間を要すると思う。生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2.0%を超えるまで、量的・質的金融緩和政策の拡大方針を継続するという主旨でコメントしている。
 要するに、米英欧が直面している物価上昇は、コロナ禍からの回復過程で、モノやサービスが欲しいという人達が増えており、その需要に対応しようと雇用を増やそうとし、賃金上昇もおきている。人手不足感があり、時給や給料を高くしても、なかなか思ったようには集まらないくらい雇用を増やして対応しようという状況であり、これは需要が物価を押し上げるディマンドプル型である。一方、日本の足元の物価上昇は、モノやサービスが欲しいという需要が盛り上がった中での物価上昇ではなく、輸入に頼っている原材料や資源価格の上昇や円安による、物価上昇になっているので、人手不足感はなく、時給や給料を高くしてまで、雇用を増やして対応しようという状況ではない。従って、資源価格の上昇はやがて治まり、円安が落ち着くと、物価は下がることが見込まれるので、引き続き米英欧のような、需要が増えるまで、日本の景気を下支えするために、金融政策はこれまで通り、量的金融緩和策を続けるという姿勢をとっている。
 ただし、米英欧の物価上昇圧力を抑えるための政策金利の引き上げは、打ち止めのタイミングが難しい。引き上げすぎると、景気の腰を折ってしまうリスクがある。というのも、5月5日に開かれたBOE金融政策委員会では、現状のペースの利上げを行うと、2023年のGDPは、-0.25%に落ち込む見通しが示されたために、ポンドが売られる流れになった。政策金利の引き上げは、あくまでも景気が好調な間は、通貨の買い要因になるが、景気後退を引き起こすまで行き過ぎると、逆に通貨の売り要因になる。そういった観点から、米国のFRBのかじ取りは非常に難しい局面に入ってきている。景気好調が続く米国は、冬目利上げしても、ドル買い要因になるものの、いずれかの時点で先行きの見通しがマイナス成長になるならば、利上げがドル売り要因になってしまう。
株式相場は、6ヵ月先の景気を読んで動くといわれる。足元の米国株式相場の下落基調は、FRBの見通しとは違って、投資家目線での米国の景気後退リスクを感じ始めている可能性がある。
 

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